1 序論 ぱらぱらめくる『非可換幾何学入門』
- 空間と幾何って言ったら、ふつう、「広がりがある〜隣関係がわかる」ものを対象にし(位相幾何)、そこに「長さとか面積とか言った「測りもの(測度)」がある。この「測りもの」をするには、微分形式(この方向には、こういう具合で長さを測るよ)を張り付ける
- 以下の3つがある
- これらは可換幾何学の3要素なので、これらの非可換版が欲しい
- この空間に可換環がくっついているということは、空間の点を状態とみなしたときに、状態1に状態2を掛けてできる状態と状態2に状態1を掛けてできる状態とが同じ、ということ。これが古典物理量の世界(らしい)
- それがうまく行かないのが量子力学、統計力学
- たとえば、原子の発光スペクトルでは、その振動数が離散的になっているが、その離散値を状態と呼べば、その関係が非可換。その非可換演算に対応するのが、ポアソン括弧
- さらに、温度のような「多数の集まり」の平均値を観測するような状況(量子統計力学)では、状態は行列になって、巨視的な量(温度とか)はその行列から得られるスカラー値になるが、全部の状態を表す行列は、非可換。これで状態の記述・組み合わせ・重ね合わせが表せれば、それは(非可換な)行列環。無限・極限にすると行列環ではだめで環が必要になる
- 可換環に対応した空間で、測度とか微分とか積分とかがあったが、それは可換演算に基づいていた。フォンノイマン環は、状態空間が非可換なときに、「測りもの」をする仕組みで、それを可換な状況に使うと、ルベーグ測度論に対応する。ルベーグ測度論は、可換的幾何学があって、多様体を考えていたときに、それのための道具立てとして登場した(らしい)が、フォンノイマン環は、環の定義づけがなされたのちに、それが、非可換幾何での測度論であることがみえてきた、という順序(らしい)