はじめに ぱらぱらめくる『非可換幾何学入門』

  • 代数幾何は、『幾何学的な空間と可換環論との関係をあきらかに』した(代数幾何は、××=0が幾何学的オブジェクトを表していることを意味していて、その=0の等式を解くことが代数幾何とする。その等式を解くときの代数構造が可換環)
  • 本書は、(実解析学の範疇で)『可換を越えたところでの幾何学的な空間と関数解析との同じような対応を示すこと』
  • 3本の柱
    • 自然界には、非常に自然に非可換代数を対応させることができる数多くの例がある(ペンローズの宇宙の空間、葉相多様体の葉相全体の空間、離散群の既約表現全体の空間など)。これらには古典的な解析学の手法を適用することはできない
    • 古典的な解析学の手法(測度論、位相、微分演算、計量など)を、代数やヒルベルト空間を用いて再定式化する。そうすることで、「自然な状況」には非可換が対応し、それと連なったもの・閉じていないものとして可換な場合がある
    • 物理学との関係。行列力学(簡単な場合に行列全体が作る環、量子統計力学になるとC*環(=C^*環)(『ヒルベルト空間上の線形作用素のなす環で、随伴操作とノルムに関する位相で閉じたものとして実現される』)。エネルギーと運動量の空間の上で定義された関数全体のなす環が非可換。素粒子物理学の時空間(紐とか、4次元、多次元とか)での非可換性。