ぱらぱらめくる『線形代数と数え上げ』
- カステレイン行列と数え上げのことが気になった
- その両方が含まれている本書を買って眺めてみる
- 価格: 3190 円
- 楽天で詳細を見る
- この本の扱うトピックの英語版としては、Mishigan State Univ. がPDFをアップロードしていて(
[https://users.math.msu.edu/users/bsagan/Books/Aoc/final.pdf:title=Combinatorics:
The Art of Counting] by Bruce E. Sagan、その書籍版が
- 前書き
- 増補版まえがき
- 第1部 3次元ヤング図形の数え上げ
- 第1章 平面分割と非交差経路
- 第2章 LGV公式
- 第3章 平面分割とシューア函数
- 第4章 ヤコビ-トゥルーディ公式
- 第5章 非交差経路とフェルミオン
- 第6章 ワイルの指標公式
- 第7章 マクマホンの公式
- 第8章 平面分割の対角断面
- 第9章 平面分割と非交差経路
- 第2部 完全マッチングと全域木の数え上げ
- 第10章 ダイマー模型
- 第11章 カステレイン行列
- 第12章 有限正方格子上のダイマー模型
- 第13章 パフ式とその使い方
- 第12章 全域木の数え上げ
- 第13章 全域木と完全マッチングの対応
- 付録A
- 付録B
- 付録C 発展的話題
前書き
- 「行列と木の定理』
- カステレインの定理
- 非交差経路和に対するLGV(Lindstrom-Gessel-Viennot)公式
第1部 3次元ヤング図形の数え上げ
第1章 平面分割と非交差経路
- LGV公式が本書全体の中心
- LGV公式の行列式を計算する過程でシューア函数が登場する
- シューア函数は多変数対称多項式の古典的な例。表現論・可積分系・パンルヴェ方程式などとも関係が深い
- 3次元ヤング図形は、単位立方体を原点詰めで第一象限に積むパターンで、それは、行列の左上を原点と見た平面格子と考えたときに非負整数要素で大小制約のある行列として表現できる。この行列では、同じ整数を持った領域を区画と考えると、一種の平面分割になるので、3次元ヤング図形は平面分割を表しているとも見える
- これをさらに、非交差経路のセットとみることもできる
- LGV公式は、この非交差経路の場合の数にきれいな式表現(行列式を使う)を与える
- LGV公式が言っているのは
- これを使うと、正の整数 r,s,tでできた直方体と合致する3次元ヤング図形の場合の数の数え上げが
- さらに、シューア函数(対称性函数)を用いることでと単純な式になる
my.macmahon <- function(r,s,t){ ret <- 1 for(i in 1:r){ for(j in 1:s){ for(k in 1:t){ ret <- ret * (i+j+k-1)/(i+j+k-2) } } } return(ret) } r <- 1 s <- 1 t <- 1 my.macmahon(r,s,t) # 1次元 rs <- 1:100 v <- rep(0,length(rs)) for(i in 1:length(rs)){ v[i] <- my.macmahon(rs[i],s,t) } plot(rs,v) # 2次元 n <- 9 rs <- 1:n ss <- n rss <- expand.grid(rs,ss) v <- rep(0,length(rss[,1])) for(i in 1:length(v)){ v[i] <- my.macmahon(rss[i,1],rss[i,2],t) } plot(rs,v)
第2章 LGV公式
第3章 平面分割とシューア函数
第4章 ヤコビ-トゥルーディ公式
第5章 非交差経路とフェルミオン
第6章 ワイルの指標公式
第7章 マクマホンの公式
- マクマホンの公式は整数の式。それを実数変数qで表された式での極限を取ったものとするという話
- 簡単な連続函数と、その極限として離散状態とを考え、数え上げとは極限(量子化)であるとの枠組み(か?)
- q-数え上げ ( q-enumeration ) と呼ばれる
- q-変形の例として、二項係数のq-form "q-binomial coefficient)を挙げる
- https://en.wikipedia.org/wiki/Gaussian_binomial_coefficient:titel=Wiki 英語記事に詳しい
- と言う式が『線形代数と数え上げ』にあるが、このは整数分割になっており、ちょっと面倒くさい
- Wiki記事の式によれば、
my.q.binom <- function(n,m,q){ ret <- 1 for(i in 1:m){ ret <- ret * (1-q^{n-i+1}) / (1-q^i) } return(ret) } q <- seq(from=-1,to=1.2,length=400) v <- rep(0,length(q)) n <- 5 m <- 2 V <- factorial(n)/(factorial(m)*factorial(n-m)) for(i in 1:length(v)){ v[i] <- my.q.binom(n,m,q[i]) } plot(q,v,type="l") abline(v=1) abline(h=V)
第8章 平面分割の対角断面
- シューア過程と呼ばれる確率過程の研究から注目を浴びるようになった
- 位相的弦理論に応用
第2部 完全マッチングと全域木の数え上げ
第10章 ダイマー模型
- ダイマー模型と2部グラフと完全マッチング
- タイリングとも関係
- ダイマー模型から、状態数、エネルギー状態などにつながり、量子力学的になる。全場合を網羅するのが「分配函数」。確率の総和が1になるようにする正規化項
- 「カステレインはダイマー模型の分配函数を線形代数的に計算する方法を示した」
- 「分配函数が直接に行列式として表せるのはグラフが平面的(な)場合に限られる」
- 平面化可能グラフは球面に描けるということ
- トーラスに描けるグラフについて拡張された
- 球面上の場合の分配函数は1個の行列
- トーラス上の場合の分配函数は4個の行列
- (球面に描ける)平面化可能グラフのダイマー模型のダイマーの取り方の場合の数(分配函数)は、カステレイン行列Kの行列式の絶対値
- カステレイン行列の要素は、N個の頂点セット2つを持つ2部グラフについてのNxN行列。行が第1セット、列が第2セットに対応し、第1・第2の頂点間にエッジがなければ0、エッジがあれば値が入る。その値は「そのダイマーの重みに符号をつけたもの」
- 「Kの固有ベクトルを直接構成して、Kを対格かし、その固有値の積としてKの行列式を表すことにしてみた
- 2m x 2n の正方格子の場合にはと美しい。。。
- さらに物理学的には、において、自由エネルギーが
- になるという
第11章 カステレイン行列
- 分配函数は、すべての場合の数
- 相関関数は、頂点重複のない辺の(亜)集合に対応する場合の数(ある周辺度数に対する場合の数に相当するだろう)
第12章 有限正方格子上のダイマー模型
- 扱いやすいグラフでやってみる
第13章 パフ式とその使い方
- パフ式は偶数次の反対称行列に定義される
- 外積代数と関係する
- 反対称行列だから箙と関係してくる
第12章 全域木の数え上げ
第13章 全域木と完全マッチングの対応
付録A
付録B
付録C 発展的話題
- トロピカル幾何・アメーバなどと絡んでくる:ダイマー模型とその周辺