配置空間X(2,4)の一意化 ぱらぱらめくる『私説 超幾何関数』

  • 3. 配置空間X(2,4)の一意化
    • 超幾何級数
      • D = x\frac{d}{dx}なる作用素
      • べき関数x^a = exp(a \log C_x)がこの作用素の固有関数
      • べき級数とは、この作用素の固有関数による展開
      • f(D)x^2 = f(n)x^nが成り立つ
      • このことを用いると
        • 超幾何級数F(a,b,c;x)=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(a,n)(b,n)}{(c,n)(1,n)} x^n, (a,n)=a(a+1)...(a+n-1)のとき
        • A(n)=\frac{(a,n)(b,n)}{(c,n)(1,n)}は、\frac{A(n+1)}{A(n)} = \frac{(a+n)(b+n)}{(c+n)(1+n)}を満たすが、
        • これらより、超幾何級数が次の微分方程式を満たすことは、慣れれば見えてくるレベルのことらしい
          • E(a,b,c) : ((a+D)(b+D)-(c+D)(1+D)\frac{1}{x})u = 0
          • これはいわゆる、超幾何微分方程式だが、次の書き方の方が普通である。E(a,b,c): x(1-x) \frac{d^2u}{dx^2} +(c-(a+b+1)x)\frac{du}{dx} -abu =0
    • 超幾何微分方程式の形に注目
      • 線形二階微分方程式
      • この微分方程式を満足する関数たちを考える。さらにそれを類別することを考える
      • x=0,1(と無限大)では、二階の項がなくなるから、他の点とは挙動が変わる(特異点)
      • 微分方程式の解としての関数たちも特異点のときとそうでないときとで異なる。特異点ではないときの関数たちを問題にする(対象にする)
      • このような解となる関数たちは、ある値の周辺で二次元線形空間をなし、全体としては、特異点以外のところには線形空間を張り付けられる〜滑らかにつながった多様体になっている
      • 第1章の対数関数のときにも使ったように、滑らかな空間での軌道に沿った積分は軌道の取り方によらず一定で、軌道は滑らかに連続的に移りかえることができるから
      • 特異点以外については、ある点を始点として出発して、その点に戻ってくる軌道がとれて、それらは積分値を同じくするという「類」をなす
      • ただし、滑らかに移り変われるかどうかは、軌道が特異点とどういう位置関係にあるかによって制約される。したがって、それが商空間を決める
      • この類別・商空間は、始点・終点の取り方によって決まる。
      • このようにして「超幾何微分方程式の解の関数たち」を商空間にするのだが、これを微分方程式のモノドロミ表現という
      • さらに、モノドロミ群は線形群で作ったけれど、それを射影的に変えれば、射影的モノドロミ群となる
    • シュワルツ写像・シュワルツ三角形
      • 複素平面上に、実数直線があり、その上に3つ特異点がある。無限遠を射影幾何的に取り込めば、実数直線は円周になる。実数直線は3線分に分割される。今、非実数の複素数点から実数直線をまたいで戻ってくることを考える。行きと帰りとで異なる実数線分を通ることにすると、この経路を図にするためには、二つの三角形を描く必要がある
      • 実質的には、二つの三角形が3辺で貼り合わさっているのでそこに経路が描かれるだけだが、局所の構造を考慮すると、三角形のそれぞれの角度は決まっているので、三角形のパッチワークになる。この三角形の角度の総和が180度なら平面に広がるパッチワークになるし、180度より大きければ、正の曲率を持った面の上に三角形が並べられる。逆に180度より小さければ、負の曲率になる
      • ここでパッチワークがうまくいくように角度を360度の整数分の1であると限定すると、うまくいく角度設定の場合とうまく行かない場合とが出る
      • なお、このパッチワークがうまいこといく、というのは、モノドロミー群が有限群をなす、ということに相当する(らしい)
      • どの特異点を回るか(どの辺を出てどの辺で返ってくるか)の場合分けでモノドロミー群が決まる。ある状態から次の状態へ移る場合の数はいつも3通りなので、三角形は必ず3辺を介して3つの三角形と隣接している。その繰り返しパターン。