SLEという方程式その2

  • Schramm-Loewner Evolution(SLE)という1次元ブラウン運動を駆動関数とする1階の微分方程式について勉強することにする
  • 第二の資料はこれに進もう
  • まず。複素上半平面の単純な曲線(自身と接したり交わったりしない曲線)は、そこまでの曲線と曲線が実数軸と囲む部分領域を実軸に押しつぶして(射影して)、複素半平面のそれ以外が複素半平面全体になるような共形変換を持つことが示せて、そのような共形変換はz + a(t)\frac{1}{z} \frac{1}{|z|^2}という小さな項を持つものと漸近近似できることが示せる(条件に合致する部分領域をいったん、単位複素円盤に写し、それを適当に複素半平面全体に対応付けしなおすという手続きで示せる)
  • そのような共形変換を、曲線がtのパラメタで伸びていくときに、曲線の出発点\gamma(0)と時刻パラメタtとを使って、共形変換自体が、tによって変化していく、そんな連続な共形変換の積み重なり、としてあらわすことができる。それは級数表示することもできてg_t(z) = z + \sum_{n=1}^{\infty} \frac{a_{n+1}(t)}{(z-\gamma(0))^n}と表せることも示せる
  • 一方、複素半平面曲線に対応する共形変換の連続的蓄積を検討していくと\frac{\partial g_t(z)}{\partial t} = \frac{1}{g_t(z)-U_t} \frac{d a_2(t)}{dt}というような微分方程式にまとめることができる。ここではU_tという一つの関数と、級数展開のa_2(t)までしか使われない形にまとまっていることが見て取れる
  • ここでa_2(t)=2tと簡単なものをとることにすれば、\frac{\partial g_t(z)}{\partial t} = \frac{2}{g_t(z)-U_t}という簡単な形になる。これがSLEの微分方程式である
  • ここでa_2(t)=2tと導入したことで、それ以外の級数展開の係数a_k(t)は、その簡単さのためにおつきあいして変化しなくてはならないが、次のような、階層的な方程式系を満足するものとして定めることができる
    • a_k(t)はtの関数であって、かつ、\frac{d}{dt}a_k(t)(a_1(t),a_2(t),...,a_{k-2}(t))の関数として表せる。しかも、kが大きくなるときは、屋上屋のような積み重ね定義になってくる
    • \frac{d}{dt}a_k(t) = 2P_k(a_1(t),a_2(t),...)
    • a_1(t) = -U_t
    • a_2(t) = 2t
    • P_1=0,P_2=1,P_k=-\sum_{j=1}^{k-2} a_j(t) * P_{k-j}
    • P_k(a_1(t),a_2(t),...) = f(\prod_{\text{Conditions}} a_j(t))
  • そんなこんななので、U_tが決まれば曲線が数値解析的ににシミュレーション作成はできるのだが、ちょっと面倒くさい。面倒くさいから、そのためのアルゴリズムとかが論文になったりする(こちら)
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