かいつまみメモ:ぱらぱらめくる『私説 超幾何関数』

  • 以降の記事はだらだらとノートを取っているだけだけれど、全体をつかみ直さないと何のことか分からないので、ギュッとかいつまんだバージョンを個の冒頭にメモし直しておく
  • 配置空間
    • 射影直線上の3点の組はそれがいかなる組でも、射影変換にて相互に移りあえることを同値とすると、すべての3点の組は同値となる。これは商空間的に1点であると言う。射影直線状の4以上の点の組はそうはならず、射影変換にて相互に移りあえるかどうかを同値として商空間をつくると類別できる。このような点の組の射影変換による商空間を配置空間と言う。そのような4点の組をの類別をX(4)と書く
    • 4点の並びではなく、4点の集合(順序を気にしない)とする場合にも配置空間は定義できる((x1,x2,x3,x4)と(x1,x3,x4,x2)を同値とする、というような同値ルールの変更による)。それをX{4}と書く。(4点はぐるりと閉じた輪の上に並んでいるので、4!/4=6通りが同じものとしてくくられる)
  • 実現
    • 商空間(配置空間を含む)は抽象的な概念なのでわかりにくい。わかりにくい商空間をわかりやすく扱いやすいものにすること。もしくはそのようにしたもの。(群の表現が抽象的な群をわかりやすくしているのと同じようなこと?)。射影空間で実現することを、『射影空間への埋め込み』とも言う。
  • X(4)の実現としての点平等な埋め込み(射影空間での実現)は、複比\lambdaを使ったり、4点の2次元座標ベクトルが作る2x4行列のi,j列部分の行列の行列式D_x(ij)を使って、3つの要素の比〜二次元射影平面上の点〜として、以下のように表される。
    • Y =(y1:y2:y3)=(\lambda-1:-1:-\lambda)
    • =(D_x(12)D_x(34):D_x(13)D_x(24):D_x(14)D_x(23))
    • \sub \mathbb{P}^2
    • 射影直線上の4点x1,x2,x3,x4についてx1,x2,x3を射影直線上の3つの特異点0,1,無限大に対応づけたときのx4の座標について考えるのが複比。複比が等しい4点の並びは配置空間として同じ類になるのだが、4点のどの3点のどれを特定点に胎動づけ、さらにどれを0,1,無限大のどれに対応づけるか、を1,2,3,4で決め打ちにしない方法を「点平等」と言う。この方法では、配置空間(商空間)を二次元射影空間上の点に対応づける。
    • X{4}の実現の場合には、別の不変量j(\lambda)=\frac{4}{27}\frac{(\lambda^2-\lambda+1)^3}{\lambda^2(\lambda-1)^2}がある。4,27などがどうして出てくるか気になるかもしれないが、これもD_x(ij)のような小行列式を使った式は素直な式となっている。[tex:\frac{*1^2+D(13)D(24))^2+(D(14)D(23))^2)^3}{(D(12)D(34))^2(D(13)D(24))^2(D(14)D(23))^2}]
  • 楕円関数は複素半平面の格子移行に関する商空間
  • 楕円関数とX(4),X{4}との関係は射影平面への埋め込みで対応づく
    • 複素平面格子は2つの複素数で定義される。格子同士が整数行列によって移り変われるかで同値をとり商空間を取ると、複素数のペアについての商空間になる。二つの複素数の取り方に順序をつければ、それは複素平面の半分についての格子移行による同値関係での商空間となる。
    • 複素平面を格子で考えることは楕円関数を考えることと同じなので、複素半平面の格子移行による商空間は楕円関数の同値関係による商空間と一致する。
    • 楕円関数も抽象的な商空間であったが、それを射影平面に実現(埋め込み)すると、4点で分岐する射影直線の二重被覆であるが、この楕円関数の実現である射影平面上の埋め込みは、「4点」の位置で類別できる。この「4点」がX(4),X{4}の4点と同じことである。
    • 結局、X(4),X{4}は楕円関数の類別と対応することがわかった。
    • 楕円関数にはワイエルシュトラウスのペー関数という表し方やテタ関数という表し方があるので、その表記法と複比やY =(y1:y2:y3) \sub \mathbb{P}^2とに関係がある。
      • 4点の順序を気にしない場合であるX{4}の不変量j(\lambda)=\frac{g2^3}{g2^3-27g3^2}は、ワイエルシュトラウスのペー関数を(p')^2=4p^3-g2p-g3と表した時のg2,g3から計算する不変量である。
      • 順序を気にするX(4)の射影平面への埋め込みY=(y1:y2:y3) \sub \mathbb{P}^2とはテタ関数と対応し、テタ関数の4つの表現のうちの3つとパラメタ1つを使って(y1:y2:y3)=(-\theta_{00}^4(\tau):-\theta_{01}^4(\tau):\theta_{10}^4(\tau))となる。
  • 超幾何関数が、X(4),X{4}と複素半平面の格子移行に関する商空間とを結ぶ
    • 超幾何級数は超幾何微分方程式と言う3係数の方程式を満たす。これをE(a,b,c)と表す。
    • この3係数をうまくとると、複素半平面の射影幾何表現である三角形の敷き詰めが得られる。そのような係数の取り方には「敷き詰めの成功」という制約があるので適切な取り方があるが、そのうちのある1つ(E(1/2,1/2,1))がX(4)に、また別のある1つ(E(1/12,5/12,1))がX{4}に対応する。
    • シュワルツの三角形の描図では、E(1/2,1/2,1)の図は、E(1/12,5/12,1)の個々の三角形を並び順の考慮に応じて6分割した図になっている。
    • 超幾何積分の導入も便利
      • 特異点xiに対して\prod (t-x_i)^{\mu_i}という関数の経路積分を考えればよくなるから簡単
      • また、多様体上の経路の位相として類別することで想像しやすくなる
  • 配置空間X(2,n)への拡張
    • これまで考えてきた配置空間X(4)はX(2,4)を簡略表記したものだった。
    • X(2,4)ではX(2,3)のときに商空間が1点だったのに、おさまりきらなくなった最初のものなのでX(2,n+3)のn=1の場合であった。
    • そのときにn+1=2重周期を考えて\mathbb{P}^{n=1}を考えた
    • 一般化するときはX(2,n+3)が\mathbb{P}^nで考えられる、というように拡張される。
    • 次元が上がって来て視覚的に想像するのが難しくなるが、位相的な側面が強いことはわかっているから、対称性に注意をしておくことが大事なことはわかる。
  • 配置空間X(m,n)
    • X(2,n)へと一般化したら、次なる一般化はX(m,n)。
    • 不変量はD_x{ij}の対称な項によって定まっていたから、小行列式D_x{ijk}にしていくらしい?
  • 勝手なメモ
    • 単純な曲線を表しているフルネ=セレ的な対角成分とその上下部分に要素を持つ行列と関係するらしい。
    • シュワルツの三角形のように隣り合わせに単体タイルを敷き詰める(鏡影敷き詰め)ことに擬せられるっぽい。
    • X(m,n)からの章は、抽象的な話なので、式を追わないが、楕円関数・超幾何関数は、X(2,4)、X(2,n)にとどまらず、多重周期性関数・特異点をぐるりと回る関数・経路積分を通じて位相に連結、という特性から、X(m,n)でも活躍するらしいことはわかる。

*1:D(12)D(34