ペンローズタイリングを数列表現すること、そして非可換幾何へ

  • ペンローズタイリングというのは、こういうタイリングのこと

ja.wikipedia.org

  • 規則的なようで微妙に不規則なタイリング
  • 不規則なので、同じか違うかを考えたくなる
  • 異同を考えたくなるが、図のままだと扱いにくい
  • 数列に対応付けられるよ、という話がある
  • 数列に対応付けできれば、異同の評価は楽になる
  • ペンローズタイリングにも色々あるので、Kite-and-dart (P2)というパターンのを考える

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/26/Penrose_vertex_figures.svg(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/26/Penrose_vertex_figures.svg)

  • 説明する(資料は

https://alainconnes.org/wp-content/uploads/book94bigpdf.pdf
の179頁"Appendix D: Penrose Tilings"を。

  • Kite は鈍角三角形、Dartは鋭角三角形
  • あるタイリング状態に着目すると、Kiteの方が面積が大きくDartの方が面積が小さいときもある。上記の図ではすべてDartの方が面積が大きいパターンになっている
  • タイリングパターンをよく見ると、DartがKiteより大きいときには、DartとKiteが1つずつ貼り合わさって、一回り大きいKiteができていることに気づく。逆に、KiteよりDartが大きいときには、DartとKiteが1つずつ貼り合わさって、一回り大きいDartgaできていることに気づく
  • そのような貼り合わせの辺を消し去ると、タイリングパターンが変わる。より具体的には、DartがKiteより大きいときには、一回り大きいKiteと同じ大きさのままのDartで出来たパターンになる。ここで注意するべきは、新たにできたパターンでは、大きい方がKiteに変わっていることである。KiteがDartより大きいときには、一回り大きいDartと同じ大きさのままのKiteとのパターンとなる。こちらもまた、大きい方がKiteからDartに入れ替わっていることに注意する
  • もう一度、この貼り合わせ辺を消す作業をすると、(Dart > Kite) ----> (Kite' > Dart) ---> (Dart' > Kite')のように変化し、大きい方が元に戻りつつ、DartもKiteも一回りずつ大きくなる
  • さて、今、あるタイリングに着目し、その一つの三角形タイルを選ぶ。そして、この貼り合わせ辺の除去作業を繰り返すことにする。タイリングは無限に広がっているものとすれば、無限に作業が繰り返せる
  • 最初に着目した三角形は、DartかKiteになり、その後も、その三角形は、何かしらの三角形の一部になっている。各ステップで、その三角形は、DartかKiteなわけだが、「大きい方か小さい方か」という見方もできる。この大きい方か小さい方かのシークエンスが作れる。「大→大→小→大→。。。」のような
  • ここで、タイリングの改変ルールから「小」の次は必ず「大」になっていることが知られている
  • 「大、小」のシークエンスは面倒くさいので、「大=1」「小=0」にすれば、"11010111101010111..."のような数列ができる。0の次は必ず1で、1の次は0か1
  • 今、ある大きさのDart(またはKite)が分割されて、細かいDart,Kiteでタイリングされているとする。その細かいタイルの2つを取り出すと、それらに対応する2つの数列はもちろん違うが、2つの小さな三角形が、ある一つの三角形の一部になったら、それ以降は処理を繰り返しても、出現する配列は同一になることがわかる
    • z \sim z'(2つの数列が同一視する)とは \exists n, \forall j \ge n  z_j = z'_j と言うことと同じ、と
  • このような間柄にある、二つの数列は、「元々、同じペンローズタイリングの異なる2つの小三角形」由来であるという意味で、「同じペンローズタイリング」を体現した数列であると言える。これをequivalentな関係とすれば(同一視 )すれば、無限に作れる01数列(ただし0の次は1)が、この同一視の下で分類され、その分類の1つ1つが、あるペンローズタイリングに対応する
  • したがって、01無限数列(ただし0の次は1)という数列の集合を、この同一視ルールで商を取ったものが、すべてのペンローズタイリングの空間構造を表している…と言う
  • ほほー、ペンローズタイリングが配置された空間は、無限01数列を、その同一視ルールで商を取ったもの、と定義できた
  • が、ここで、次のような問題が生じる
  • 数列が同じペンローズタイリングに属するか否かは、有限長の比較ではわからない、ということである
  • そして、この結果、ペンローズタイリング空間のある1点(とあるペンローズタイリング)と、ありとあらゆるペンローズタイリングとは、有限長数列で判断しようとする限り区別ができないということになる
  • 01配列を、普通の意味で、空間に配置して、それが隣同士になっているかどうか、というような遠近関係・位相関係は役立たずであると言うことになるらしい
  • そして、このような対象を扱う工夫として非可換幾何が出てくるらしい