三角化・結び目・団代数・双曲幾何・確率論・量子確率論~たまった資料の整理をする
はじめに
- コロナ禍のため(?)に資料を読み捨てにして整理せずにいたら、収拾がつかなくなってきたので、いったん整理する
団代数
- Introduction to Cluster Algebras (名大) : 団代数と{半体、トロピカル半体、ローラン現象、ルート系}について簡潔にまとめてあり、整理に有用。式表現の探索・確認にも有用
- Cluster algebras, quiver representations and triangulated categories: 団代数の性質を説明するのが主眼の文書で、その説明に箙と三角化カテゴリが登場することで、箙・三角化を幾何学的な立場から考えて、それに団代数を持ち込みたいと考えた時、参考になる情報が多い → Calabi-Yau triangulated categories
三角化
- Cluster algebras and triangulated surfaces Part I;Cluster complex 曲面上の点集合に交わらないarcsを引いて三角化するとはどういうことか、という話から始まって、その表現をどうするか、その対称性はどうなっているか、などの話
- Cluster algebras and triangulated surfaces Part II ; Lambda lengths : 三角化はそれだけだと団代数の対称性を満足できないので、三角化にtagged arcを導入してその課題を克服する話。λ-length, shear-coordinates, Teichmuller spaceなどとの関連も詳述している
- A discrete uniformization theorem for polyhedral surfaces : 多面体を変化させる処理をTeichmuller spaceの座標付けとか、λ-lengthとかで説明し、一意化定理の多面体版として説明する
- Ideal Hyperbolic Polyhedra and Discrete Uniformization : 有限な双曲面で、punctured sphereと位相同型なものは、3次元双曲空間上のconvex ideal polyhedrontとして表せる話
結び目・結び目補空間・3-多様体
- 結び目の数学(鈴木咲衣先生) : 図を追って確認できる。ジョーンズ多項式、量子不変量など
- Hyperbolic knots : "Handbook of Knot Theory"の第1章。結び目補空間とその双曲幾何構造について短くまとまった文書
- Hyperbolic knot theory : 356ページの文書。結び目補空間とその取扱いに関する諸々について、大部なだけにどこかに出ている、と言う感じの文書。Alternating Knots and Linksにも章を割いている
- Hyperbolic 3-manifolods and Cluster Algebras : 3-多様体は特殊性を持つこともありいろいろな道具立てがある研究対象。結び目補空間は3-多様体なので、そういう意味でも興味深い。この文書は、そんな3-多様体の団代数。3-多様体は四面体分割して位相をとらえる(ことも多い)ので、その変異としての団代数とか
- Homotopy hyperbolic 3-manifolds are hyperbolic : 3-多様体に双曲幾何構造が張り付く話を100ページ近い文書で詳述
双曲幾何
- Flexibility of Entropy of Boundary Maps for Surfaces of Constant Negative Curvatures : 曲面を定負曲率面として見る話し。エントロピーという概念をトピックとして、関数表示などを確認できる
代数と幾何
- On Fuchsian loci of PSLn(R)-Hitchin components of a pair of pants : 表現多様体に代数的集合の構造が入る話とか、その商空間としての指標多様体の話がなされる。その中で、例としてTeichmuller spaceが登場し、双曲構造の話が出る。Teichmuller spaceを考えつつ、さらに一般的な枠組みでどういうとらえ方をするのか、とか、多様体(幾何的に考えてもよいし代数的に考えても良いのだろうが)と代数的集合の構造とのとらえ方の整理に。
- Symplectic Structure of Information Geometry: Fisher Metric and Euler-Poincare Equation of Souriau Lie Group Thermodynamics : 物理学的に解釈することも可能な微分と関連するSymplectic structureとその多様体の計量と、それを説明するLie群との話を情報幾何多様体で行う話。一連の三角化・双曲幾何構造云々を情報幾何と結びつけるための架橋か…
- Caley sum graph of ideals of commutative rings : 環とイデアルのことを考えつつ、その多様体としての構造を想起するときに、離散版としてのグラフを念頭において考えてみよう、というときの一例
Teichmuller space
- Trace Coordinates of Teichmuller space of Riemann Surfaces of Signature (0,4) : 特定の簡単な"four-holed spheres"について、群、行列表現、複素数・四元数表現、双曲空間モデル、双曲パンツなどを使って、丁寧に座標表現・式表現を説明した文書
- Toy Teichmuller spaces of real dimension 2: the pentagon and th epunctured triangle : 単純な例を用いて、2次元多様体のTeichmuller spaceの実例を説明した文書。一般的なTeichmuller spaceの文書について具体的なイメージがわかないときに読むなどの補助によい
- Symplectic Structures on Teichmuller Spaces T_(g,s,n) and Cluster Algebras : λ-lengthとかShear-coordinatesとかがわかった上で、物理現象を表す多様体であるSymplectic StructuresとかPoisson Structuresとかとの関連に視野を広げられる文書 -> Symplectic and Poisson Manifolds
- Shear coordinates on the Teichmuller space of real hyperbolic surfaces with holes : Shear coordinatesの何たるかについて、多少なりともイメージがあるときに、簡単な具体例に即して説明してもらって、理解を堅固にするのに向いている文書、かな
- Shift coordinates, stretch lines and polyhedral structures for Teichmuller space : 長めの文章で図も豊富。三角化・多面体とTeichmuller spaceとの関連を理解するためのイメージをつかむのに良い。teichmuller spaceの話を知らずにいきなりこの文書に入るのはちょっと難しいかもしれないが、Teichmuller spaceの一般論を先に読んでイメージをつかむことも難しいので、これを最初に浅く通読するのはありか…
- Penner coordinates for closed surface : Teichmuller space のPenner coordinatesを中心に書いた文書
- Lambda length by Penner : Pennerによるλ-length のオリジナル論文。オリジナルに戻って確認したいときに。100ページ近い
曲面解析・変形
- Hyperbolid Harmonic Mapping for Surface Registration : 曲面のハンドリング。{Ricci flow、双曲幾何構造分解としてのパンツ分解、等温座標系、共形変換} = {Discrete Hyperbolic Ricci Flow, Hyperbolic Pants Decomposition, Homotopy Class, Non-linear Heat Diffustion}
- Recent Advances in Computational Conformal Geometry(2009) : 曲面の共形変換の総説。Ricci flowベースで説明しつつ、Teichmuller spaceと言う単語への言及もある。Ricci flowで変形して、hyperbolic uniformization metricを計算することができる、その後、パンツ分解をすることで、Fenchel-Nielsen coordinatesを付与することによりTeichmuller spaceとつなげることができる
トロピカル代数・トロピカル幾何
- トロピカル幾何学入門(北大) : 区分的に線形な幾何学的対象を扱う科学がトロピカル幾何学。古典的幾何学では未解決な問題の突破口の可能性がある。そんな大事なトロピカル幾何学のさわりを短くまとめた資料
- Tropical Mathematics : トロピカル演算の基礎資料
- Introduction to tropical algebraic geometry : トロピカル代数幾何の基礎的文書
- Minimal external representations of tropical polyhedra : トロピカル多面体の説明。分数表現などが出てきて、有理性などについてイメージがわきやすい
- Ideals of polynomial semirings in tropical mathematics : トロピカル数学が織りなす多項式をイデアルで構造化する話
- Tropical Ideals : トロピカル・イデアルの話。グレブナー基底との関係なども出てくる
- Tropical Geometry of Deep Neural Networks : Deep leraningとトロピカル幾何 → Sum-Product Networks: A New Deep Architecture : 関係するっぽい
Circle packing, Sphere packing, Applonian circles
- Beyond the Descartes Circle Theorem : なる接しあう円・球の曲率が満足する式の話。ユークリッド幾何・球面幾何・双曲幾何とでそれぞれ説明があり、また、曲率が整数で埋め尽くされる話などもある
- Circle packing and discrete analytic function theory : 共役変換写像としてcircle packingできるだろうというThurston の予想に照らして、Circle packingについて論じている
- A linearized circle packing algorithm : Circle packingを地道にやって、閉曲面を球面に写像するのは理論的にはOKだが、実際は処理が重い。その処理の部分処理を線形化してみましたという話
行列に関すること
- Matrix Problems and their Relation to the Representation Theory of Quivers and Posets : 箙とポセットと行列問題。行列に関する問題を複数個挙げ、それに対してポセット表現を通じて解釈する章と箙表現を通じて解釈する章とを出して論じている。100ページ超
- Best Approximation in Riemannian Geodesic Submanifolds of Positive Definite Matrices : Positive Definite Matricesは行列式・小行列式が団代数になっているはず。それとのからみで、行列の代数幾何構造に関する調べ物をしたときに出てきた文書
量子確率論
- 量子確率論とその応用 : 日本語で読む量子確率論
- Quantum probability theory : 量子確率論を学ぶための文書。「解りやすく」という文書ではなく、「きちんと定式化して」と言うタイプの文書
- Computing large-scale graphs based on quantum probability theory : グラフ比較問題はグラフが大きくなると大変。そこに量子確率論が何かできるかと言う話
- Quantum chaos, random matrix theory, and the Riemann zeta-function : ランダム行列理論。それとリーマンのゼータ関数がどう関わるのか、という話。行列の固有値スペクトルとリーマンのゼータ関数のzerosとの関連