ぱらぱらめくる『Random Walks on Disordered Media and their scaling limits』

このメモが目指すこと

  • このLecture notesは純粋に数学的
  • 読むにあたっての目標は
    • 中味を追えることではなく
    • ランダムウォークにより、"disordered media"の何が掴めるのかと言うことと
    • その極限を捉えるのにどの様なことを考えるのかと言うこと

Preface

  • The ant in the labyrinthと言う話があると言う。ランダムに動き回ると、ある点から、ある時間後に、ある別の点にいる確率と言うのは、ランダムウォークで隣の点に移るか移らないかの確率によって変わるわけだが、これをグラフ(簡単にはグリッド)のエッジを確率p vs. 1-pで残すか残さないか、と言う問題とみなすと連結成分の大きさの現れ方に繋がる。このとき、pの値を変えるとパーコレーション理論となる。パーコレーション理論になる、とは、あるp値があって、そこで相転移が起きる。連結成分サイズが有限と無限との切り替えが起きる。熱拡散のモデルとしても使える
  • Random walkさせる「メディア」が単純でないときに、熱拡散を説明するカーネルがどうなるか、その極限はどうなるか、と言うことを論じる

Chapter 1 Introduction

  • 構成
    • Chapters 2, 3 and 4: Weighted graph, symmetric Markov chains. Heat kernel のboundsが求められる。Sub-Gaussian heat kernel boundsと言うものも登場する。Green functionsも現れる
    • Chapters 5-7: Incipient infinite cluster (IIC)と言うものを考える。パーコレーションで、無限大連結成分が現れるが、本当に無限大かどうかはわかりにくいので、その部分をなすと思しき、大きな連結成分を考えるらしく、その様な、無限の一部らしき大きいクラスタのことをIICと言うらしい

Chapter 2 Weighted Graphs and the Associated Markov Chains

  • グラフのランダムウォークをしているにあたって、自身に戻ってくる確率と、全ての非自身に戻ってくる確率とのどちらが大きいかで、クラスタが小さくまとまる(有限)か、とそうでないかが分かれそうだ、と言うことを使うらしい
  • 離散マルコフ連鎖で考えた上で、連続時間マルコフ連鎖に移す。この時にヒートカーネルが出て来て、指数関数とか登場する。考え方としては、2点を考えた時に、いつまでたってもxに居残り続けるか、yに移動するかの2択の確率を連続時間マルコフ連鎖で考えると指数関数が入った無限級数和になり、それがカーネル関数
  • 重み付きグラフの上の調和関数と言うものも使う
  • トレースも使う

Chapter 3 Heat Kernel Estimates: General Theory

  • 遠ければ到達しにくい。その減衰の具合がガウシアンカーネルっぽくなりそうなのはわかる。そんな話だろうと思う

Chapter 4 Heat Kernel Estimates Using Effective Resistance

  • 微分方程式を解くための関数であるGreen functionを導入する
  • フラクタルグラフにも使える(どんどん細かくしていくグラフに使える)

Chapter 5 Heat Kernel Estimates for Random Weighted Graphs

  • 無限ランダムグラフで考える
  • Alexander-Orhach conjectureと言うのがあってpercolation network のスペクトル次元はd>=2次元なら、いつでも3/4と言う予想。フラクタルとかで調べられている

Chapter 6 Alexander-Orbach Conjecture Holds When Two-Point Functions Behave Nicely

  • おそらく内容はタイトルそのまま

Chapter 7 Further Results for Random Walks on IIC

  • 特殊なグラフについてのこと
  • ある種のランダムグラフについても

Chapter 8 Random Conductance Model

  • コンダクタンスは電流の流れやすさ。直流回路で言う所の抵抗の逆数