Chapter 3 外積代数は微分幾何の何か?(滑らかな多様体版) ぱらぱらめくるDIGITAL GEOMETRY PROCESSING WITH DISCRETE EXTERIOR CALCULUS

  • 幾何的スカラー値を評価する
  • ベクトルと1-形式
    • ベクトル vector は向きと長さとの情報のペア
    • 1-形式は、「この向きについて評価して値を返してあげる」という仕事をするもの。covector
    • 両者は「矢印」として空間・多様体上に描かれるけれど、「もの」と「作用の体現体」として別物
    • 「評価して返される値」は、vector と covectorとを掛け合わせてできるもの
    • covectorは多様体⇔平面の変換で長さが伸び縮みすることに注意
  • ベクトルと1-形式とを座標系で表すべく、以下のようにすれば
    • ベクトル(\frac{\partial}{\partial x^i})
    • 1-形式(dx_i)
    • 任意のベクトルと1-形式がこれの線形和で表せる。上付き・下付き添え字のルール(ベクトルが上付き、1-形式が下付き)なのは、物理学のアインシュタイン記法などからの影響
    • 1-形式をベクトルに作用させると値が返る、というルールだったからdx_j (\frac{\partial}{\partial x^j})=\delta_i^j
    • 結局、任意の1-形式について、あるベクトルを評価して値を返すのは、「ベクトル同士の内積」を返すのに似ている
    • \sharp,\flat-オペレータと言うのがあるが、これはベクトルと1-形式とを入れ替える(両者を区別して扱う)ためのもの
      • ベクトル:v = \sum v^i \frac{\partial}{\partial x^i}
      • ベクトルの1-形式化:v^{\flat} = \sum v_i dx_^i
      • 1-形式:\alpha = \sum \alpha_i dx^i
      • 1-形式のベクトル化:\alpha^{\sharp} = \sum \alpha^i \frac{\partial}{\partial x^i}
  • 2,3,...-形式
    • 1-形式と同様に、2,3,...-形式も、「この『平面の広がり具合(向きは1次元の広がり具合)』について評価して値を返してあげる」という仕事をするもの
    • 仕事をさせるためには、それに対応した「形」を持った要素と掛け合わせる
    • このとき、「2次元微小面積」「3次元微小体積」…は外積で表されるので、外積が登場
    • 1-形式\alphaをベクトルvに作用させるときは\alpha(v)だったが
    • k-形式をk個のベクトルセットに作用させるときは(\alpha_1 \wedge \alpha_2 \wedge ... \wedge \alpha_k)(v^1,v^2,...,v^k)となる
    • これが(\alpha \wedge \beta \wedge \gamma)(u,v,w) = det(u',v',w')=| \begin{pmatrix} \alpha(u) & \alpha(v) & \alpha(w) \\ \beta(u) & \beta(v) & \beta(w) \\ \gamma(u) & \gamma(v) & \gamma(w)\end{pmatrix}|になる
  • 幾何的ベクトル値を評価する
    • ルールが定まったので、返り値がベクトル値であるような評価も可能
  • ホッジ双対
    • n次元で考えているときにk-形式で考えることと、その双対としてのn-kベクトルで考えることとは表裏の関係。どちらでやっても最後に得られる答えは一緒(ホッジスター記号は★が出ないので\clubsuitで表している)
    • \alpha \wedge (\clubsuit \beta) = <<\alpha, \beta>> w = <<\alpha, \beta>> (\clubsuit 1)
    • u v = \clubsuit(u^{\flat} \wedge \clubsuit v^{\flat})
    • u \times v = (\clubsuit (u^{\flat} \wedge v^{\flat}))^{\sharp}
  • 外積代数での微分演算子
    • 微分exterior derivativeという量を導入することで、「量の変化〜微分」と「量の積み重ね〜積分」が扱えるようになる
    • 微分は、「まさにその地点で、方向によらず、スカラーとして、どれくらい伸び縮みさせるか」を表す
    • 方向によらなくても、うまくどちらの方向にどれくらい伸び縮みさせるかが決まるのは、このスカラー量が平面上でどの方向にも連続してつながっているから
    • ベクトル場があったときに、それの∇を取るのは、ベクトルがどんな風に変化しているかをベクトル場として評価すること。勾配の評価。偏微分するのがこれ
    • その内積をとればスカラーが得られてそれがdivergence
    • そのクロス積をとれば、ベクトルの変化のうちの向きの方に関する情報(ベクトル場)が得られる
    • 結局、外微分を使うことで、「べた」に座標軸ベースで考えていた全微分が、vector, covector,hodge,sharp,flat外積で表せることになる(この仕組みを実装しておけば、計算機上の処理コマンドは座標フリーにvector,covector,hodge,shapr,flat,exterior algebraで処理することになり、簡単だ、と言うこと)
  • 外積代数での積分ストークスの定理
    • 曲線で言えば、曲線に沿って伸び縮み係数を考慮してその長さを積分することは、両端の積分値の差を取ることでしかない。それを座標系を使わずに外積代数とvector,covector,sharp,flat,hodgestarでやれるし、曲線に限らない、という定理
  • 離散版、外積代数的微分積分
    • 次のようにしてみる
    • メッシュがある
    • メッシュのエッジについて、そのエッジ上の諸点のベクトル場情報から、そのエッジを1-形式とした値を取り出し、その平均をそのエッジの1-形式値とする
    • k>1-形式に一般化する。エッジだったものが、三角形、四面体、…と変わる
    • ここでストークスの定理を使うと、1次元低い単体を「積分〜足し合わせ」すればよいので、計算可能
  • 離散版ホッジ双対
    • (点、辺、三角形) とそのホッジ双対(三角形、辺、点)との関係になる
  • これで離散版微分幾何・離散版外積代数は終わり
  • 後は使うだけ