ぱらぱらめくる『数学 文章作法 基礎編』
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/04/11
- メディア: 文庫
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- 「数学」「文章作法」とあり、数式や、数学的言い回しを含んだ文章を書くための本
- 大きく2点あります
- 1点目は、いわゆる文章をわかりやすく書くことについて
- 2点目は、数学的文章について
- 1点目について
- どこかの書評に「普通の文章作法で言われていることも多くて」と若干、否定的なニュアンスも見かけたが、それはある意味で正しく、別の意味では、この本の特徴から言って、的がずれているかもしれない
- 「普通の文章作法で言われているような、『当然の事項』」を、どういう順序・構成で提示するか、というあたりに、この本の特徴があるといえるでしょうか
- 「文章はこう書くべし」という「メッセージ」を、実現して書いてある本、なのです
- 文章の書き方について学びながら、この本自体が、本全体として、その「作法」の例となっている、という入れ子構造になっている、という意味です
- 2点目について
- 数学的言い回しは学校で数学の教科書を読んで、なんとなく「こういう言い回しが数学的」と言うのはわかっているし、いわゆる数式の書き方についても「それができないと試験に合格しない」ので、書く鍛錬を積んでいる
- 積んでいないのは、数学の教科書の「地の文」の言い回し。実際、長い記述式の数学の試験回答などの練習では、その側面が鍛えられるかもしれないけれど、長い記述式の問題が減っていて、式の羅列だけで済むことが多い昨今、その訓練は放っておいてはなされない
- そんな「数学の教科書的なかきっぷり」を「わかりやすさ」に配慮して説明すると…、というのがこの本の「2点目」に関すること
- 文章の「形」「構造」…『幾何的側面』
- 文章の「順序」「階層」…『離散数学的側面』『グラフ理論的側面』
- 代数の使用とそのメタ情報…『代数』…抽象的な記載をわかりやすくする仕組み
- 例…一般性と特異性…一般解と特殊解、特異値・特異点などに注意する