2013-04-05 ぱらぱらめくる『グレブナー基底とその応用』 ぱらぱらめくるシリーズ グレブナー基底 代数 多項式環 グレブナー基底とその応用 (共立叢書・現代数学の潮流)作者: 丸山正樹出版社/メーカー: 共立出版発売日: 2002/10メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログを見る はしがき グレブナー基底は多項式環とそのイデアルについての多くの問題において、具体的に計算することを可能とする、そんな手続き(アルゴリズム)を用意するのに使える このようなグレブナー基底の役割は、「素数を見つけるためにエラトステネスの篩」が役に立つことになぞらえてもよい 素数にとってエラトステネスの篩の対極(?)にあるのは、「素数は無限にあるよ、だって、素数の積に1を足したものは、その計算に使った素数では割り切れないことから、いくらでも素数が作れることを証明しているから」という証明だ、という。この証明は、素数が無限にあることは教えてくれても、素数を用いた現実的な問題(たとえば素数のリストを作るとか)には役に立たないから、というのがその理由だという 第1章 可換環 可換環、イデアル、可換環上の加群を経て 多項式環へ話を進める 多項式環にまつわる(連立多項式にもまつわる)諸問題は、多項式環のイデアルについての問題に置き換えて考えることが有効であることにつなげる 第2章 グレブナー基底 イデアルが大事なことはすでに示してある イデアルの生成元としてのグレブナー基底へ話を進める グレブナー基底が有用なものであることを示すと同時に、それが有限回の手続きで得られることも示し、有用なものが、高嶺の花ではなく、確かに「使えるやつ」であることも示す 第3章 消去法とグレブナー基底 グレブナー基底を比較的なじみのある事項との関係からとっつきやすくする 第4章 代数幾何学の基本概念 代数幾何学は多項式の共通零点(代数多様体)を対象とするので、代数幾何学を多項式環で捉えるとグレブナー基底が役に立つ 後続の章では代数幾何におけるグレブナー基底の活用の話になるのだが、それを理解するための代数幾何の基礎を扱う 第5章 次元と根基(radical) 多項式環のイデアルの次元(イデアルが定義するアフィン空間の閉部分スキームの次元)の意味を扱い、グレブナー基底を使ってその次元の計算をする 多項式がイデアルの根基かどうかの判定にもグレブナー基底が役に立つ 第6章 自由加群の部分加群のグレブナー基底 また、グレブナー基底を多項式環上の加群に一般化する話を導入する その延長線上で、代数幾何学で用いられる射影(的)多様体とその上での不変量の計算にとってのグレブナー基底の役割に話が展開する それを理解するにあたって、「層」「コホモロジーの次元」「組合せ」による代数幾何学の理解へとつながる 種とか次元とか次数と言った幾何・位相的な世界と話がつながっていく 付録A 層(Sheaf)の概説 幾何学的対象を記述する基本的な言葉としての層。代数的多様体、スキームの定義に必要な層