トーリック多様体のメモ

  • トーリック多様体というのがある
  • 幾何と組み合わせ論とをつないでくれるらしい
  • 抽象化した概念なので、具体例からまとめていくと、うまくない点もある模様
  • そのような理由もあって、トーリック多様体の定義から入ると、何が何だかわからなくなるようだ
  • というわけで、一つのアプローチで、具体的なところからトーリック多様体が定義される道筋をたどってみることにする

https://arxiv.org/pdf/0808.2749.pdf

  • この文書の冒頭を使ってみる(もしかすると、定義式などがやや怪しいように思うのだが…)
  • 組み合わせ論と関係があることから、格子点 集合Z^nからスタートする
  • 格子点集合から、いくつかの点を選ぶと、うまくすると凸包・凸多面体とその内部が現れる。2次元平面格子に3点取って、三角形を得るようなもののこと。凸包にならずに開放端ができることもある
  • この空間は、格子点の集合と、格子点の隙間を埋めることのできる実数とを組み合わせて「表示」することが可能
  • 先ほど選んだ格子点部分集合をいじることにする
  • 格子点部分集合のある頂点を選び、残りの頂点に向かって進むことを考える。その直線上には繰り返し格子点が現れる
  • ある頂点を選び、残りの頂点への直線で錐を作る。この錐を構成する直線上にも平面上にも内部空間中にも格子点が含まれる。また、この錐の任意の点は、選び直した点部分集合の線形和で表せる
  • 選び直した点部分集合により、錐を過不足なく張れるとき、基底として働く。その中の「素」なものを定義する
  • 話を多項式に移す
  • n次元格子点の座標をn変数単項式の指数とみなす。すべての格子点を考えると、ローラン多項式環になる
  • その基底は\{z_1^{\pm 1},z_2^{\pm 1},...,z_n^{\pm 1}\}
  • 錐を張る基底に対応する単項式も多項式環を定める
  • この多項式環は、代数構造(どれとどれを合わせるとどれになる・・・という関係)を持つが、その代数構造をSpectrumと言うらしい。この多項式環の構造をもたせることで「ザリスキ位相」を持った多様体としての体裁が整うらしい
  • この格子点を指数とする単項式が構成する多項式環に、(ザリスキ)位相をもたせた多様体のことがトーリック多様体(らしい)
  • 冒頭で引用した文書の式定義に一部、??、があるので、同文書は、概略を追いかけるために使わせていただくことにして、より詳細に記載してある文書(おそらく、式などの確認について、安心度が高いと思われる)はこちら

https://www2.math.ethz.ch/education/bachelor/lectures/fs2015/math/alg_geom/brasselet

  • その他、うんちく
    • トーリック多様体は、「トーラス」に関する話で、トーリック多様体にはトーラスがぎっしり詰まっている、とも説明される。トーラスを「ドーナツ」と思うと、なんだかよく解らなくなる…
    • トーラスは、代数的には次のように考えるのだと言う
      • そもそも円環がドーナツ型なので、円環をトーラス的なものと見る、というところからスタートする
      • 複素数で考えると、それはノルムが1の複素数の集合
      • 複素数のうち、ノルムが1の集合は、「閉じているいい感じ(コンパクトで均一)の集合」であり、代数構造にもなっているので…
      • 『位相体のコンパクトな乗法群の直積に同型となるコンパクト群をトーラスと呼ぶことがある(Wikipedia)』…と言うことから、閉じている代数構造(そこら中で同じ代数演算ルールが成り立っている構造)を指して、代数的トーラスと呼ばれる
    • Spectrumについては:

Spec(Z) in nLab

    • 多項式環を考えるときに、多項式集合は「数の拡張」と考えることができて、数に素数自然数有理数・実数直線などがあるように、多項式集合にも、小規模によく閉じた部分集合から、それを含めた大きな部分集合などが定義される。その関係をFunction-Field Analogyと言うらしい →
      • 代数関数については

代数関数 - Wikipedia

    • 格子点のことを考えるとき、ある格子点集合を取ったときに、その格子点集合ですべての格子点が表せるかどうかが気になることがある。そのとき、格子点座標をセル値に持つ行列の行列式\pm 1になるかどうかで、全格子点が網羅できるかどうかの判定ができるという。この性質を持つ整数行列をunimodular 行列と言う

Unimodular lattice - Wikipedia