ぱらぱらめくる『Morse理論の基礎』

まえがき

  • 空間は幾何学の、関数は解析学の対象
  • 空間上で定義された関数と、その空間の計上とには関わりがある
  • そのかかわりに関する理論がMorse理論
  • 特に関数の臨界点に関する情報から空間の形に関する情報を引き出すところに特徴がある
  • 第1章で曲面を例としてMorse理論の基本tね木概念を導入
  • 第2章で一般次元に拡張
  • 第3章でMorse理論が多様体を目で見るための統一的方法としてハンドル体を説明
  • 第4章はハンドル分解とセル分解の関係を論じ、多様体ホモロジー論が見やすくなる
  • 第5章は低次元(4次元以下)の多様体の話。視覚的に表現できる次元

第1章 曲面上のMorse理論

  • 臨界点は、関数を微分して0になる点
  • 退化と非退化
    • 2階の微分で0になる臨界点は「退化」
    • 2階の微分で0にならない臨界点は「非退化」
    • 「非退化な臨界点」はすこし摂動しても「非退化な臨界点」のままなのに対して、「退化なそれ」は臨界点でなくなったり、2つの非退化臨界点に分裂したりする。~不安定な臨界点
  • 臨界点の評価にはヘッセ行列(2階の微分が作る行列)を用いる
  • ヘッセ行列の行列式が0でない場合が非退化
  • 非退化な臨界点(2次元曲面の場合)は、個々の臨界点は孤立しており、x^2+y^2=z, x^2-y^2=z,-x^2-y^2=zの3通りに分類できる
  • この3通りに、0,1,2という指数を対応付ける
  • 曲面上のMorse関数
    • ある曲面上の関数の臨界点がすべて非退化であるとき、その関数をMorse関数と呼ぶ
    • こんな定理もある
      • 『閉曲面Mの上に、非退化な臨界点が2つだけのMorse関数f : M \to Rが存在すれば、Mは球面に微分同相である
    • 『ある特別な場合ではあるが、曲面上のMorse関数によってその曲面の計上が決まる』ことが示されている。これの体系的研究がMorse理論
  • 曲面上のMorse関数の最小値・最大値を考える。値を最小値から最大値へと変化させると、Mの部分集合が0から始まってだんだん大きくなり、Mそのものに到達する。その推移の様子を捕らえんとするのがMorse理論
  • x^2+y^2=z的な非退化臨界点をよぎるとき、新規に円板が生じる(0-ハンドル)
  • x^2-y^2=z的な非退化臨界点をよぎるとき、「橋渡し的な領域~1-ハンドル」が生じる
  • -x^2-y^2=z的な非退化臨界点をよぎるときは、円板状の空隙が消失する。この空隙を2-ハンドルと呼ぶ
  • 閉曲面とその上のMorse関数により、ハンドルの列ができる。これがハンドル分解

第2章 一般次元への拡張

  • 素直な拡張

第3章 ハンドル体

  • ハンドルではりつけて(高次元)閉曲面ができる
  • 位相的に同相だけれど、微分同相とは限らない、という状況が高次元では生じる。その例が、7次元以上で存在するエキゾチック球面(こちらに記事)

第4章 多様体ホモロジー

  • 単体的複体は、単体の境界が単体となっていて、その合成のこと
  • セル複体も同様で、より高次元のセルの境界が1次元低次元のセルになっているような構成を考え、その合成がセル複体
  • どちらも、単体・セルで張り合わせられる
  • チェイン状にする、とか、カーネルを考える(写像して0につぶれる)とか、そういう扱いの対象になっている
  • このあたりをいじると、Betti数、オイラー標数とか自然数が特徴を体現する話が出てくる
  • Betti数とMorse関数の指数別の臨界点の個数には不等式関係がある
  • Betti数は多様体の形によって決まる数であるから、Morse関数の臨界点の個数も形によって決まる数であることが間接的に解る

第5章 低次元多様体

双曲幾何・ポアンカレディスク

  • Rmdファイルにまとめてみた
  • Rmd
  • htmlファイル
  • 負の曲率を持つ空間は、想像するのが難しい
  • ユークリッド空間上に埋め込もうとしてしまうから
  • 正の曲率を持つ空間は次元を1つ上げれば、ユークリッド空間に埋め込めるが、負の曲率を持つ空間はうまくいかない
  • 負の曲率を持つ空間を双曲線・双曲面の層に分解し、各層をユークリッド空間に押し込む方法がある
  • 押し込む方法には、ポアンカレ・ディスク模型があり、それを双曲面と対応付けることができる
  • それをRを用いて、座標変換関数を作成したり、図示したりしながら、学ぶための文書

Rcppを使ってパッケージを作る

  • Rcppパッケージには、Rcppを介してcppを使ったパッケージの見本を作成する関数 Rcpp.package.skeleton() がある
  • Rstudioで新たにcppファイルを作成して、然るべきフォルダに保存して
  • Rcppパッケージの compileAttributes() 関数を実行して、出来上がり
  • あとはgithubに上げれば、自分も他人も使える状態

ゼータ メビウス メビウス反転 素数 商群

  • 本当にただのメモ
  • この論文にはお世話になった
  • オイラーゼータ関数では、個々の自然数に対して1を返す関数(数論的関数)に対して、ディリクレ級数的母関数が定義できて、それがいわゆるリーマンのゼータ関数
  • リーマンのゼータ関数にはオイラー積表現があり、そのときに、全ての自然数素数因数分解することを使う。したがってオイラー積表現では、全部の素数に渡って、掛け算する
  • メビウスの反転公式というものがある
  • これは、集合を「割り算して同値類」をとることにより、関数を反転するルール
  • リーマンのゼータ関数の場合には、この割り算が、いわゆる算術的割り算だったので素数に渡る処理をした
  • この割り切れる関係をポセットにできる
  • ポセットではチェインを一つずつ数える。この数論的関数自体をゼータ関数と呼び、その対応的な数論的関数をメビウス関数と呼ぶ。この辺り、自然数に1を対応づける関数の母関数としてのゼータ関数と、ちょっと「ゼータ」の使い方が違いそうだ
  • そして、この対応する関数がどうして対応するかが、実は、メビウス反転と関係し、さらにその背後にディリクレ級数的母関数が、「割り切れる」ものに関して畳み込みが定義されていることとも関係しているのだが、文書によっては、そこに触れずに、関係だけを記載するものもあり、文書によっては、関係するメカニズムを延々と書いていて、何が知りたかったのかがわからなくなる長さになったりするので注意が必要
  • グラフのゼータ関数(伊原・Selberg)は、\sum_{i=1}^\infty \frac{1}{n^s}から出発していない。リーマンのゼータ関数オイラー積表現\prod_{p \in P} \frac{1}{1-p^{-s}}の対応物として、ゼータ関数ができている。素数に対応するものとして基本となる閉測地線をとる。その測地線の「値」には「長さ」をとる
  • その概念をグラフの隣接行列と結びつけたら、determinantの式で表せるよ、というあたりに、伊原のゼータ関数に関する文書は重点を書いているので、そちらから入って、ポセットのゼータ関数との関係を理解しようとすると、色々な所に、段差があって大変だ

Python でトポロジカルデータアナリシス

  • こちらでRのトポロジカルデータアナリシスパッケージTDAについてメモしたが
  • パイソンにもあった
  • こちら
  • 代数的確率論による、行列の確率変数化、それを介してのグラフの確率変数的取り扱い、さらにその続きとしての単体的複体の確率変数的取り扱い、そこから、Betti数、Bettiカーブ・・・(こちら)にメモした
  • 特に(個人的に)面白いのはこちらにも書いたように、ゼータ関数メビウス関数・ポセットとの絡みと繋がってくれたこと

グラフスペクトル:隣接行列・ラプラシアン・Normal行列

  • グラフが持つ3つの正方行列(隣接行列・ラプラシアン・Normal行列)の固有値分解・スペクトル解析に関する短い文書をRで確かめる作業をしてみた