トロピカル代数のためのメモ

  • こちらの団代数の短い文書を読むときのメモ
  • 半体
    • 集合があって、2つの演算が定まっている
    • 2つの演算は、積と和
    • ただし、和については「加えることはできるがその逆である引くことはできない」
    • 3つの半体を覚える
      • 自明半体
        • 要素は1だけ。1と1の積が1、1と1の和も1
      • 普遍半体
        • n個の変数の多項式を要素とする
        • ただし、多項式には条件がある
        • 特定の整数係数多項式をまず定める
          • 係数は非負。その多項式は0であってはいけない
        • このような0でない、非負整数係数多項式の有理式として表される関数全体が集合
        • 和と積とは通常の和と積と定めると、この関数全体が半体になっている。これが普遍半体
      • トロピカル半体
        • n個の変数
        • そのローラン単項式全体 \{\prod_{i}^n u_i^{a_i}; a_i \in Z\}を考える
          • これは普遍半体での「0でない、非負整数係数多項式」の有理式として表される関数全体の集合に対応する
        • 積は普通の積とする。これにより、変数ごとの次数は「普通の和(加算と減算)」に相当する
        • 和は、変数ごとの「次数の最小値」とする
        • これが半体となっており、積が(次数の)和になり、和が(次数の)最小を取る操作になっていることから、その性質がトロピカルだということでトロピカル半体と呼ばれる
    • 普遍半体のトロピカル写像
      • 普遍半体とトロピカル半体とには対応関係(準同型写像)があるので、普遍半体の要素である非負整数係数有理多項式に対応するトロピカル半体のローラン単項式が得られる
          • \frac{2u_1^2 + u_1u_2}{u_1+2u_2} -> \frac{u_1^2 \oplus u_1 u_2}{u_1 \oplus u_2} トロピカル半体には、「整数係数」という概念がないから、それは単純に消失する
          •  =\frac{u_1^{min(2,1)} u_2^{min(0,1)}}{u_1^{min(1,0)}u_2^{min(0,1)}} = \frac{u_1^1 u_2^0}{u_1^0 u_2^0} = u_1
  • 半体を用いた群環
    • 半体は、群であって、不完全な体の性質を持っているので、群ではある。これをPと表すとする
    • 群環は、群の要素に係数を掛けたものの線形結合。係数には体が使われる
    • ただし、この群環に用いられる線形結合の加算は、トロピカル加算ではなくて、普通の加算
    • いずれにしろ、半体を群として整数を係数とした群環が定義できる。これをZPとする
    • さらに、そのような群環ZPの分数体も作れて、それをQPとする。これは体になっている
  • 団代数
    • 団代数では、変数の個数nを定め
    • 半体Pを定める
    • そのうえで、そのQPも現れて、説明される
    • ランク n は変数の個数
    • (B,x,y)をPに係数を持つ種子と言う
      • nxn 反対称行列B
      • x = \{x_i\}, i = 1,2,...,n; x_i \in F。ただし、FはQPを係数とする有理関数体で、代数的に独立。団変数
      • y = \{y_i\},i = 1,2,...,n; y_i \in P。係数
    • 種子には、n通りの変異が定まり、n変異種子は、種子としての性質を持つので、種子の集合はn正則グラフになっている
    • ある種子を1個取ると、n正則木の全ノードに対応する種子が一意に定まる
    • したがって、各種子のx (QPを係数とする有理関数体を要素とする、要素数nの集合)の集合がとれる
    • xの要素は1変異につき、1要素が変化するが、こうして、xの要素として現れるQPを係数とする有理関数体の要素全体の部分集合は、FのZP部分代数になっている。これが初期種子によって定まる団代数であるとして、団代数が定義される。。。ZP部分代数のZがちょっとわかっていないが、n個のうちの第i番目の方向について1歩進む、2歩進む、1歩戻る、という動きがZ(整数)的、ということらしい
    • xの変異は、i番目での変異のとき、i番以外の要素は変化せず、i番目が次のように変化する
      • x_i(t+1) = \frac{1}{x_i(t)} (\frac{y_i}{y_i \oplus 1} \prod_{j=1}^n x_j(t) ^{[b_{ji}]_+} + \frac{1}{y_i \oplus 1} \prod_{j=1}^n x_j(t) ^{[-b_{ji}]_+})
    • すごく小難しいが、Fの要素であるxに関する有理式であることがまずわかる
    • また、xに関する部分以外が係数になるが、その係数は、半体Pの要素であるyに関する群環ZPの分数体であるQPになっていることもわかる
    • したがって、xの変異に伴う変換は、QPを係数とする有理変換である、と読める
    • つまり、初期種子のxから一意に決まるxの要素たちは、xのQP係数有理関数であることは、その式変形からわかっている
    • 団代数として面白いのは、式変形からわかっている、この事実以上に制約が厳しい事実が潜んでいることである
  • 団代数の特徴
    • x変数はxのZP係数のLaurent多項式になる、というのが、その厳しい制約である
  • この文書が強調したこと
    • n正則グラフの頂点集合が、何かしらの対象空間を表しているとき、その個々の頂点~種子とy変数の構成要素の組が、何かしら、その種子特有の状態を表しているので、y変数を知ることや、異なる種子のy変数を比較することに意味があるのは当然として、そこに、トロピカル化写像を行ってy変数をトロピカル化したときにそこに得られる情報と1対1対応していることを強調している。トロピカル化写像によりy変数は、その「主要部取り出し」をしているとみなせるが、「主要部取り出しをしてしまっても」情報が残っている、ということになるらしい
  • 何かうまいことを考えて、対象を変異で移り変わるn正則グラフに載せることができたなら、この強調点を応用できることになる