ぱらぱらめくる『代数的トポロジー』

講座 数学の考え方〈15〉代数的トポロジー

講座 数学の考え方〈15〉代数的トポロジー

  • まえがき
    • 三角形の合同を、三辺の長さの一致で判定するということが、「合同の関係で不変な代数的量(不変量)を抽出して(合同の)判定」をすることだという
    • このような考え方で行くとトポロジーにおける不変量としての頂点数、辺の数、面の数とそれらが作る式の値によって穴の数での同一視をとらえることが、「合同判定における辺の長さ」と同じ意味合いであることがわかる
    • この本はそんな話らしい
  • 目次
  • 1. オイラー
    • 辺は縮めてなくすけれども、ループは無くさないような操作で、グラフを同一視することがある。それがホモトピー
    • ホモトピー同値ではオイラー数が一致する
    • 凸多面体を扱うときにオイラー数を用いるが、凸多面体を閉曲面上のグラフを見ることで、硬い幾何(凸多面体)と柔らかい幾何(閉曲面)とをつないで考えることができるようになる
  • 2. 回転数
    • グラフのホモトピーを考えたとき、それはグラフの連続変形の可否だった
    • 今、図形と図形との連続写像を変形することを考えて、写像が連続変形できるか否かについてのホモトピーを考えることにする
    • 写像なので、X→Yを考えることになる
    • 簡単な例として、単位円S1 -> S1の写像を考えることにすると、それは、回転角度がどれくらいになるか、何回、回転すると一致するか、という話になる
    • このことから、連続写像の基本的な考え方として「回転数」という概念が登場する
    • S1 -> S1の写像を次のようにRで作る
    • まず、f.(0) = f.(2\pi)[0,2\pi]連続写像を作り、f(e^{i\theta}) = e^{i f.(/theta)}とする
    • 以下のR処理で図示されるように、S1の1周の間に何度も写像先でぐるぐる回る。その周り方に遅速の変化はあるが何周するか、ということについて「不変量」とみようという話
    • なぜかというと、回転数は「自然数~離散値」であるところ、写像ホモトピーでは連続的変化を要求しており、連続変化しているときに回転数は変わらずに推移するはずで、もし回転数が異なれば、どこかしらで写像同士に不連続が存在しなくてはならないから

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    • 二次元平面にベクトル場があるとき、各点から各点のベクトル方向への写像を考える。各点が二次元円板であるとすると、ベクトル方向はS1とみなせるから、D2 -> S1となる。
    • 今、D2上のすべての点でベクトル方向が定義できるなら、このD2の境界からベクトル方向S1への写像の回転数は0となる
    • この円板のサイズは変えても大丈夫(ベクトル0の点が入らない限り)だから、この回転数を「ベクトル場の指数」と呼部という
    • 逆に、D2の内部にベクトル0の点があれば、ベクトル場は渦を巻いたりできる。それは指数として1,2,などをもたらす
      • 指数1の場合は、ベクトルゼロの点の周囲に偏西風のように回っている状態、または、吸い込み・吐き出し
      • 指数-1の場合は、ある軸に沿って吸い込み、ある軸にそって吹き出し
      • 指数2の場合は、ある軸にそって、1方向から吸い込み、反対方向から吹き出し。それ以外はベクトルゼロに接する円周を取り、その円周に沿ってベクトル方向を変えつつ、速度が0から増えたうえで0に戻る

    • 球面上ベクトル場に、特異点(ベクトル0の点)が孤立して存在しているとき、それを孤立特異点と呼ぶ。球面上の孤立特異点の指数の和は、孤立特異点の数によらず2となるとのこと
    • ベクトル場をお絵かきするサイト(こちら)で表示してみよう
      • yi + xj、xi + yj、-xi + yj など
    • 閉曲面の特異点の指数の総和はオイラー数に一致するという
  • 3. 単体的ホモロジー
    • 「平面的グラフのホモトピー同値による分類は、オイラー数によって完全になされる」のに対して
    • より高次なグラフの場合は、もっと情報量が必要となる。ホモロジー群がそのような「より多い情報量のうちの1つ」で、かつ重要なもの
    • ホモロジー群の理解には加法群の理解が必要らしい
    • ベクトル空間のように和とスカラー倍とが備わっている
    • この加法群の間の写像を考え、そこに準同型写像という概念を入れ、それを使って単体的複体のホモロジー群を論じるという流れ
    • G->G'という写像fの準同型写像を考えるとき、fによって、G'の0元に移るGの要素をGのfにおけるkernelと呼び、fによってGの要素が移るG'の要素の全体をGのfによるimage と呼ぶ
    • いくつかの写像がシークエンスを作っているとき、ある写像のimageが、次の写像のkernelになっていると、G -> G' -> G''のように2つの写像を経ることで、Gの全要素がG''の0元になってしまう(その先はずっと0)。このような系列は、ある意味で「すっきりしていてきれい」であり、有用な特徴を持つ。これを完全系列を言う
    • この完全系列が単体的複体の議論につながってくる
    • このあたりからはこちらで理解を進めてから読む方がよさそうだ…
    • こちらも(は)、写像・射・圏論トポロジーとの関係の理解を進めてくれそうだ
    • 単体は「三角形の次元一般化したもの」
    • 単体を頂点IDを並べたものとすると、それらは、偶置換で入れ替わるか奇置換で入れ替わるかによって2分できる。この2つを「向き」という
    • 「向きのある単体」がいくつもあって、あちこち「張り合わせたようになっている」ものが単体的複体
    • 個々の単体を頂点IDの並びで表すと、一見して、張り合わせたところが複数回登場するように見えるが、向きのことなる単体が1つずつあるとき、それらは打ち消しあうことにすれば、消えてくれる
    • このようにして、単体的複体が頂点IDの並びを寄せ集めたものとして記述できる。この「寄せ集め」を「加法」とみることで加法群として見えてくる
    • 単体は1次元低い単体を「張り合わせ」た境界と、その「実質」でできている、と考えることができる。向きのある単体の「張り合わせ境界」は1次元低い向きのある単体の寄せ集めである
    • 単体的複体の境界もやはり1次元低い向きのある単体の寄せ集めである
    • この「向きのある単体的複体」を「張り合わせ境界という向きのある単体の寄せ集め」に対応付ける写像を境界写像という
    • (向きのある)単体の定義・性質から、境界写像を2回取るとゼロになり、それは単体的複体の場合も同じ
    • 向きのある単体的複体は、その境界を取るとゼロになるが、このように「境界を取るとゼロになるような単体の寄せ集め」をサイクルと言う
    • 向きのある単体的複体を「図形」と考えれば、「図形の境界は(1次元低次の)図形だが、それには境界がない」と言うことになる
    • ただし、「境界がない図形」は「(1次元高次の)図形の境界」かというと必ずしもそうではない
    • ドーナツ(トーラス)を考える。ドーナツにかみついて小さな円板のような形を切り取るとする。これは円板状の図形の境界(円周)をドーナツ表面から取り出す操作。この円周には境界がない
    • 他方、ドーナツを競馬場のように見て、ぐるぐる走ることにする。1周してもとの位置に戻ると、ドーナツ表面は2つに分けられてしまうが、1周したときに少し違うところに戻ってきて、もう1周することにして、帰ってきたときに、「今まで通った道を踏まず」に、一番初めのスタート位置に戻ることにする。こうすると、これはぐるっと回っているから、「閉じている~境界がない」しかしながら、この2周回路はドーナツ表面全体上にのっているだけで、特に2次元多様体の境界になっているわけではない。これが「図形の境界になっていない、(1次元低次の)境界のない図形」の例である
    • 単体的複体と境界写像によって、「境界がない図形」のうち、高次図形の境界となっているものとそうでないものとを区別してその個数を数えたりできる仕組みとしてkernel, imageとそれらの商群としてのホモロジー群がある
  • 4. 特異ホモロジー
    • 前の章では、図形を単体の張り合わせとして考えた
    • 単体は組み合わせを抽象化したものなので、「組み合わせ的」な図形の取り扱いによるホモロジー群の説明をしたことになる
    • 組み合わせを用いるとき、「張り合わせ」があって、それらが「消去しあう」ということを使うが、形自体を考えるとき、必ずしも、「消去部分の張り合わせ」を考えないで、もっと直接的に形の連結具合(位相)をそのまま使ってホモロジー群を取り扱おうという章らしい
    • 単体を位相空間に張り付けると、うねった単体的なものが位相空間上に現れる。これらの1次線形結合を考えることで加法群を考えることで構成できる
  • 5. 写像
    • Sn -> Sn 写像には、その重複具合という属性があり、それは整数値を取る。すなわち整数によって分類(商を取る)ことができる
    • こちらなど、参照
  • 6. 胞体複体
  • 7. コホモロジー
    • ホモロジー群はチェイン複体という系列でできた
    • チェイン間をつなぐ写像に着目すると、チェイン複体と表裏の関係になる
    • これをコチェインの系列になる
    • これをコホモロジー群と呼ぶ
    • コホモロジー群には加法だけでなく乗法も定義でき、環であり、ホモロジー群より情報が多く、図形に関するより多くのことを知る手掛かりとなる