3 Quick and Dirty Introduction to Exterior Calculus またしても、ぱらぱらめくる『Discrete Differential Geometry: An Applied Introduction』

  • 3.1 Vectors and 1-Forms
    • ベクトルは向きと大きさを持つもの
    • ベクトルについて情報を取り出す関数があって、それは、ある方向に関するベクトルの成分を返す関数。これが1形式(covector)
    • ベクトルも1形式も向きと大きさを持つので、同じもののようだが、片や関数、片や引数なので、似て非なるものとするのがよい。列ベクトルと行ベクトルというような違いと考えるのもよい
    • ベクトルを1形式に変えるのを♭、その逆を♯とする(テンソル代数では、これは2階のテンソルの仕事だったし、計量テンソルとその逆の仕事だった)
    • そしてベクトルと1形式の間にはIsomorphismがある
    • 1形式はベクトルをとってスカラーを返す関数だが、その関数は計量テンソルによって値を決める。曲がった空間での長さの伸び縮み具合に応じて長さを測る道具が1形式
    • より具体的には、リーマン計量によって、ベクトル世界の長さ・内積を定義するという考え方と、ベクトル世界の長さを測るにあたって、あるベクトルのある方向に関する長さを求めるに際し、方向ベクトルにリーマン計量を適用して1形式にし、長さを測りたいベクトルと1形式との内積によって長さを求める、という説明の仕方がある
    • 今、スカラー場を偏微分するとすると、考慮している方向の「微小差」は、「座標系でカウントする」が、その量を曲線に沿った長さとして定量するために、方向の1形式(伸び縮みしたもの)との内積として偏微分係数を出すことになる。これが、曲がった空間での微分に、接ベクトルの伸び縮みしたものである1形式を使う理由。
    • 3.1.1 座標系
      • 偏微分記号\frac{\partial}{\partial x_iをベクトル空間の基底とし、微小量記号d x_iを1形式空間の基底とする
      • これらには相互にクロネッカーのデルタな関係がある
      • この書き方により、ベクトルと1形式の積が記号的にもキャンセルアウトして、スカラーになることが解りやすくなる
    • 3.1.2 記法
  • 3.2 Differential Forms and the Wedge Product
    • 曲面では、あるベクトルがある1形式で評価され、別のベクトルは別の1形式で評価される。2つのベクトルが作る(正方形(長方形、平行四辺形)の)面積は、2つの1形式が作る平行四辺形の面積で評価される
    • その計算にあたって、ウェッジ積というものを使う
    • ウェッジ積は行列のdeterminantが登場する。それは外積代数が符号ルールを付加されたテンソル代数であることと関係していたりする
    • ウェッジ積は、同じものを掛け合わせると0になる、ということで、「閉じた世界」を作るが、そのため、たくさんを掛け合わせるとスカラーに戻ってきたりする
  • 3.3 Hodge Duality
    • 3次元では、面はそれを張るベクトルの掛け算とも見えるが、それを指定する法線ベクトルが規定しているとも見える
    • 面積が法線ベクトルの長さと対応づくようになっていれば、面積を計算するときに法線ベクトルの長さを計算すればよい、などの使い方となる
    • このような関係がHodge duality
    • 2項関係のような対応になる
    • 3.3.1 Hodge Star
      • 0,1,2,3形式をホッジスターにより、3,2,1,0形式に対応付ける
    • 3.3.2 Volume form
      • 面積は正方形が平行四辺形に伸びたものとして計算する
      • そのときに計量テンソルを使う
      • 体積も同じ
    • 3.3.3 k形式の内積
      • kとn-kとの積は外積代数ではスカラーになるから、k形式とk形式とからスカラーを出すには、片方をホッジ変換してから掛ければよい
      • ベクトルは♭すれば形式になるから、ベクトル同士の内積も♭した上で形式同士の内積に持ち込めば、定義できる
      • ベクトル同士のクロス積も1形式に変換した上でホッジを介するなどして定義することができる
  • 3.4 Differential Operators
    • ベクトルを「伸び縮み」させるときに使っていたdは外微分。変化量を考慮する。考慮するがすべての方向について考慮する
    • 3.4.1 div, grad, curl
      • ベクトル微分演算子ナブラ
      • スカラー場に適用できる
        • どっちにどれくらい流れているか、というベクトル場が返る
      • ベクトル場には2つの方法(内積的に、外積的に)適用できる
        • 演算子をベクトル場に内積的に使えば、そこでは、全流入と全流出とでどちらが多いかがわかる
        • 演算子をベクトルがどちらの方向にどれくらい動いているかをみれば、ベクトル的なものが返る
    • 3.4.2 微分って何?
      • Gradientはスカラー場にベクトル演算子を作用させたものだが、関数の偏微分を係数とする1形式をベクトル化(♯)したもの
    • 3.4.3 方向微分
    • 3.4.4 外微分の特徴
    • 3.4.5 1形式の外微分
      • ベクトルは1形式に変換できる。1形式の全微分はできる。2形式になるが、そのホッジをとれば1形式に戻るので、それをベクトルに戻せば、結局ベクトルが返る。こうして、ベクトル場にベクトル演算子外積的に適用してベクトル場を答えとして得る過程のk形式・ホッジ・双対的やり方がわかる
      • \nabla \phi = (d (\phi)^{\flat})^{\sharp}
        • ベクトル世界のスカラー関数\phiを♭して0形式にし、それをdして1形式に上げ、♯してベクトルに戻す
      • \nabla \times X = (\clubsuit d X^{\flat})^{\sharp}
        • ベクトル場を♭して1形式にし、それをdして2形式に上げ、ホッジスター(\clubsuit)して1形式相当にし、♯してベクトルに戻す
      • \nabla \dot X = (\clubsuit d \clubsuit X^{\flat})^{\sharp}
        • ベクトル場を♭して1形式にし、それをホッジスターして2形式相当にし、それをdして3形式に上げ、そのホッジスターをとって0形式にし、その♯をとって、ベクトル世界のスカラーにする
    • 3.4.6 ラプラシアン
      • Divergence のgradient
      • スカラー関数のラプラシアン
        • \Delta \phi = (\clubsuit d \clubsuit d (\phi)^{\flat})^{\sharp}
        • ベクトルの世界のスカラー関数を♭して0形式し、それをdして1形式に上げ、ホッジスターして2形式相当に変え、さらにdして3形式相当にして、ホッジスターすることで0形式となり、それを♯してベクトル世界のスカラーにする
      • スカラーに限らず、一般的なk階テンソルT(k,0)
        • [tex:\Delta = *1^{\flat}))^{\sharp}]
        • ベクトルの世界のTを♭してk形式とし、それをdしてk+1形式とし、ホッジスターしてn-(k+1)形式相当に変え、さらにdしてn-k形式にして、ホッジスターすることで、k形式とする項(第一項)と、Tを♭してk形式とし、それをホッジスターしてn-k形式相当に変え、それをdしてn-k+1形式とし、ホッジスターして、k-1形式とし、それをdしてk形式とする項(第二項)とを合わせて、♯してベクトル世界のk階テンソルに戻す
        • k=0のときは、第二項でn-k+1形式が出たときに、外積代数の世界では、それは0なので、消失するため、第一項のみの式になる
      • ラプラシアンは、外微分とその逆(に相当するホッジスターの外微分)をして、元の対象と同じ単位(スカラーならスカラー)の定量をする。微分して微分の逆をするときに、その間で何もしないと元に戻るだけだけれど、ホッジスターの往復をサンドイッチすることで、元のそれとは異なる何かが得られる。それがラプラシアン微分(d)とホッジの往復で作れる経路は2つなので\clubsuit d \clubsuit d + d \clubsuit d \clubsuit
  • 3.5 Integration and Stokes' Theorem
    • Volume formを足し合わせるのが積分
    • ある領域の周縁に関するk-1形式の積分は、その領域の外微分(k形式)の積分に一致する:Stoke's Theorem
    • それを使うと、ある領域のベクトル場のdivergenceの積分は、周縁各所におけるベクトル場の法線方向成分の積分になる
  • 3.6 Discrete Exterior Calculus
    • 離散メッシュでは、点には0形式をエッジには1形式を面には2形式を、積分値として持たせることで、情報の離散的保管ができる
    • 持たせる値は、スカラーになる。ただし符号に注意が必要
    • k単体に持たせる値の符号は、頂点順序の偶置換・奇置換で定まる
    • 各離散幾何的要素に積分値を与えるにあたり、ストークスの定理を使うと、算出・演算はぐっと楽になる
    • ホッジ双対の離散版も簡単。点に対して点周囲の面積、辺に対して直交する線分、面に対して点(3次元空間の2次元メッシュの場合)

*1:\clubsuit d \clubsuit d + d \clubsuit d \clubsuit)(T(k,0