わたしのためのテンソルと微分形式

  • 空間がある。曲がっているかもしれない
  • 空間上の点にはテンソルが置かれている
  • テンソルというのは、あえて座標系を定めれば、多次元アレイのように表現されるもの
  • ただし、ベクトルが向きと長さを持っているものであって、数値列として表す必要がないのと同様に、アレイで表す必要はない
  • テンソルはベクトルの(0回以上の)積であるのが基本で、この積では、座標系で表せば、要素数が、ベクトルの要素数の積になっていく仕組みになっている
  • このようにテンソルはベクトルの積になっていて、積をすればするほど次元が上がって行ってしまうのだが、次のことから、小さくなることもある
  • 空間には、ベクトルと1形式というものがある。どちらもベクトルのようなものだが、異なる世界の存在である
  • 異なる世界をV,V^*とする
  • 何が違うかというと、同じ長さのベクトルと1形式との積は、長さの2乗の成分のテンソルになるのではなく、スカラーになる
  • さきほどテンソルはベクトルの0回以上の積と書いたけれど、今はベクトルと1形式とがあるので、テンソルは、ベクトルと1形式とを適当な順番に並べた積である
  • 途中で1形式 x ベクトルとするとスカラーに縮む(縮約)するので、結局、左から、ベクトルがいくつか並び、ベクトルが終わったら、1形式がいくつか並ぶ、という並びに縮約を介して落ち着いてしまう
  • したがって、テンソルは、(m,n)(mは左から並ぶベクトルの個数、nはその後に引き続く1形式の個数として、その特徴を表すことができる。T(m,n)と書くことにする
  • この記法に従うと、スカラーT(0,0)、ベクトルはT(1,0)、1形式はT(0,1)となる
  • この記法を見ると、テンソルは次のような作用があるというように見える。T(m,n)はベクトルをm個受け取り、1形式をn個受け取ると、T(m-m,n-n)=T(0,0)となり、スカラーを返すという作用を持つ
  • この見方をすると、T(1,1)は『ベクトルと1形式を受け取って、係数wiseな積の和』という作用を表すものと見える。ベクトルが2つあるときには、そのままでは係数wiseな積の和という計算はできないが、T(0,2)に二つのベクトルを渡せば、スカラーがが返るから、これが内積を定義する。実際、空間で内積を定義するのばリーマン計量なので、リーマン計量は、T(0,2)の形をしたテンソルであることがわかる。1形式同士の内積T(2,0)なるテンソルの作用となる。この1形式の内積を返すテンソルはリーマン計量の逆になっている
  • 計量テンソルは2つのベクトルをとってスカラーを返すが、1つのベクトルをとると、「もう1つのベクトルをとればスカラーを返す作用を持つ状態」を返す。これは1形式のこと。したがって、計量テンソルに1つのベクトルを渡すと1形式が作れる。逆に、計量テンソルの逆に1つの1形式を渡すとベクトルが作れる
  • リーマン計量テンソルは大事
    • ベクトルと1形式はテンソル世界の基本要素
    • ベクトルと1形式とからスカラーを作るのは簡単(要素ワイズな積の和)
    • ベクトル同士の要素ワイズな積の和、1形式同士の要素ワイズな積の和は難しい。空間が曲がっているから
    • それを与えるのがリーマン計量テンソルとその逆
    • リーマン計量とその逆とがちょうどベクトル同士・1形式同士の要素ワイズ関和を作るためには、ベクトル側の基底の取り方と1形式側の基底の取り方に対応関係がある必要がある。実際、その対応関係はクロネッカーのデルタな関係になっている
    • これがあれば、ベクトル・1形式を組み合わせて作ったテンソル全体の基底に基づく係数表現は一意にきまる