I グラフのホモロジー群 ぱらぱらめくる『計算で身につくトポロジー』

  • 1 集合・命題・写像(必要十分と同値、全射単射全単射)
  • 2 Z自由加群
    • Z自由加群
      • 集合Sに対して[tex:Z = \{\sum_{j=1}^r a_j s_j|a_j \in Z={...,-2,-1,0,1,2,...},s_j \in S\}]で定義されるもの
      • 和という演算に関して群である(加群)
    • 準同型写像 homomorphism
    • 同型写像 isomorphism
    • 部分加群
      • 加群の部分集合かつ加群であるもの。基底という考え方とつながる
      • 準同型写像全単射ではないけれど同型写像的なものなので、「次元を落とす」「核」という考え方とつながる
      • 核は0元に写される要素集合。像は写された要素の集合。核の像は0
        • [tex:Ker(f)=\{\alpha \in Z|f(\alpha)=0\}]
        • [tex:Im(f) = \{\beta \in Z|\exists \alpha \in Z, f(\alpha)=\beta\}]
      • 準同型写像に定まる核と像は部分加群
      • 自由加群準同型写像単射であることと、その写像の核が0であることとは同値(必要十分条件)
    • 少しまとめる
      • 二つのZ自由加群[tex:Z,Z]がある
      • [tex:Z,Z]の間に同型写像が定義されることがある
      • [tex:Z,Z]の間に準同型写像が定義されることもある。特に[tex:Z]が[tex:Z]より狭いときは、そうせざるを得ず、そのときには[tex:Z]に0ではない核を持つような準同型写像がある。そのような準同型写像に像もある
      • 準同型写像は像や核という部分加群を定める
      • このように部分加群と言えばそれに対応する準同型写像とを考えることができる(のではないか、と思わせるような)結びつきがある
    • 加群
      • 自由加群[tex:Z]とその部分加群Iとを考えると、自由加群全体を部分加群で「割って」その「商」として取り扱うから[tex:Z/I]「商加群
      • 加群[tex:Z/I]では、部分加群Iの要素はすべて同じ要素[0]とみなす
      • 加群[tex:Z/I]には、加群のルールを持たせる
      • 加群[tex:Z/I]では、任意の[tex:Z]の要素が部分加群Iの線形和部分とそれ以外とに分けることができ、Iの線形和で表される部分は[0]で省略する・縮めることができるので、その過程によって、「小さくまとまった」群として扱える
      • ここでは、商加群はZ自由加群とその部分加群とによって定めたが、一般的な加群とその部分加群にも同様に定義できる
    • Z自由加群の商加群を整数の直和と同型と考える、という話につながっていく。Z自由加群を構成する集合Sは自由であったが、それを整数の直和(直積集合)として扱えるようにするための地ならしがこれで終了
  • 3 グラフとチェイン
    • グラフのホモロジー群のためのグラフ理論の話
    • 単体・複体という考え方をする
    • グラフGは頂点集合Vと辺集合Eからなる
    • 頂点集合VによるZ自由加群Z、辺集合EによるZ自由加群Zを考え、C_0(G)C_1(G))と書く。それぞれの要素を0チェイン、1チェインとよぶ
    • 二つのZ自由加群があるとき、その間に写像が定義できて、その写像が同型か準同型かを考えることが可能
    • 辺集合が作るZ自由加群から頂点集合が作るZ自由加群への写像を考える
    • 境界準同型と呼ばれるような写像を考える
      • 辺には始点頂点と終点頂点があるので、辺=終点頂点ー始点頂点、という写像は、辺集合と頂点集合との間の素直な関係であるし、それをZ自由加群に当てはめれば、素直な写像であると言える。そしてこの素直な写像を、グラフの「境界準同型」な写像と呼ぶ
    • 1サイクル
      • エッジの加法で「ぐるり」ともとに戻るようなものがある。それが1サイクル
      • それは、境界準同型写像において核に相当する。核はエッジのZ自由加群の部分加群になっている
      • その核には、基底のようなものがとれて、結局、あるグラフに存在する1サイクルは核を構成する基底のZ自由加群として表すことができる
      • 線形代数的に表現することもできる
  • 4 複体とホモロジー
  • 5 グラフ上の道
    • グラフのホモロジー群の有用性
      • グラフのホモロジー群は、その位相を考えるときに、不変であることが知られている
      • したがって、グラフの頂点・辺集合から出発して機械的に=代数的に処理することで、グラフ同士の位相的関係が導き出せる
        • たとえば、グラフ上の道は、境界準同型写像を用いると、道の取り方によらず、すべて道の始点頂点と終点頂点のみにしかよらない「未知の1チェイン」というものが定まる
        • グラフが1個以上の連結成分にあるとき、H_0(G)(0次元ホモロジー群)は、Zの連結成分数分の直和であることとしてあらわれる
  • 6 同相(位相同型)
    • グラフの同相・位相同型は、辺を反転したり、辺を細分したり・その逆をしたりして移りあえるようなもののこと
    • それはグラフの1次元ホモロジー群が同じであることと同じ
  • 7 レトラクション
    • 同相に似ているが違うものとしてレトラクションがある
    • レトラクションは辺を残したまま頂点を一つにまとめていく操作
    • レトラクションによってホモロジー群は変わらない
  • 8 オイラー
  • 9 完全系列
    • ホモロジー(群)はとても有用だけれども、計算が面倒くさい
    • それを定式的に扱えるようにして、便利にしてくれるものが完全系列
    • そして同相・レトラクションなどに関する諸々が統一的に表される
    • 異なるグラフが作るホモロジー群の間に写像を考えると、ホモロジーの異同が、図式上の始点終点を同じくする2つの掲路と対応する。同相・レトラクションで変化したグラフに関するホモロジー群の間に全単射が見つかってくる、というような形で、完全系列が便利に使えることが見えてくる
    • 各々のグラフが複体という写像で結ばれた系列を作る
    • 各々のグラフのk次チェインの間に写像を考える
    • こうすることで、写像の格子ができる
    • この写像格子は周辺がすべて0である
    • この写像格子は複体系列では\delta_{n+1}\delta_n=0という制約があり、k次チェイン間写像はもっと厳しくて像が次の写像カーネルそのものである
    • ホモロジー群が複体系列にもできるし、k次チェイン間にもできる
    • このようにしてできたホモロジー群は格子状に配置される
    • このホモロジー群についてkチェイン間で同じであるかどうかを調べるにあたり、2種類の写像制約を使って代数的に考えるとすっきりする