ぱらぱらめくる『21世紀の新しい数学』

  • 多様性を相手に、そこに意味を掘っているが、それは、スキーム理論的には、位相空間多様体から、それに対応する1点を見つけること、なのか???

  • このほんについては、こちらに対談されている小島さんのブログ記事がありました(こちら)
  • 内容
  • とこんな具合
    • 一番気になるのは、本書のメインである「スキーム理論」「ゲルファント・シロフの定理」「位相空間とそこにある複素関数イデアル・極大イデアルを介して、同相空間」
    • 図形は1点に対応したりする
    • 姿が色々に見えるかもしれないけれど、その正体は1点
    • 多様性を1点化して理解したいのは、自分の今の仕事そのもの
  • スキーム理論の章について少しメモ
    • イデアルは「和と積と倍数について閉じている集合」
    • 「和と積」のことだから「環」に定義できる、何か:整数のイデアル多項式イデアル
    • イデアルを扱うために二つの特徴的イデアル、「極大イデアル」と「素イデアル」とが定義できる
    • 「極大イデアル」は「環全体を考えたときに、あるイデアルを含むような別のイデアルがないようなイデアル
    • 「素イデアル」は「あるイデアルがあったときに、その要素が積で表されるなら、その2要素も含むように拡大していったイデアルである。「因子分解できる限り細かくするという方向で拡大」したイデアル
    • 代数図形への利用。図形を連立多項式方程式の解と見ることができるけれども、連立方程式のそれぞれの多項式イデアルを使って図形をとらえることにする
    • 「ある図形を表現するイデアルが『極大』であるということは、その図形が1点であることに対応する」。一点 \Longleftrightarrow 極大
    • 「ある図形を表現するイデアルが『素』であるということは、その図形がそれ以上分解できない図形(既約な図形…図形の世界で言うところの「素数的な図形」)であることに対応する」。既約 \Longleftrightarrow
    • これを使うと、「点によってつくられている空間」を「極大イデアルによってつくられている空間」と見ることができる。するとそこには「素イデアルの集合」があって、それが空間を構成している。「素イデアルを点」とみなす、という再度の「みなし」行為をした後、「素イデアル同士に遠近っぽいものを導入する〜位相空間にする〜開集合・閉集合を定義する」。この位相空間の一部を切り取ったり貼り合わせてできる空間が「スキーム空間」
    • 整数の場合:素数イデアルと0イデアルをそれぞれ点とみなして空間を作ることに相当する。それをSpec(Z)と呼ぶ
    • イデアル位相空間を作っているとき、ある値(環の要素)は個々の素イデアルと何かしらの関係にあるので、その関係性を尺度とした「素イデアル位相空間をXとして、関係性尺度をYとした、曲線・曲面を描く関数」に対応付けられる
    • 逆に、コンパクトな位相空間があったとき、その上にある連続関数の全体の集合は可換環になるという。(コンパクトな位相空間が「素イデアルが作る位相空間」に対応し、その上の連続関数は、イデアルを考えていた「環の要素」に対応し、そのような連続関数の全体は「環の要素の全体」に対応する。「だから、(可換)環」となっている、というそういう対応関係)。その可換環の位相は元のコンパクト位相と同相なのだという。だから任意のコンパクト位相空間可換環の代数で扱える、和と積で扱える。どんな和と積かといえば、複素環だったり実数環だったり…
    • 可換環の話だったけれど、可換環の代りに可換モノイド(和はなくて積だけ)を持ってくると、素イデアルが増える→点とみなせるものが増える