ぱらぱらめくる『幾何学と代数系』

幾何学と代数系 Geometric Algebra -ハミルトン,グラスマン,クリフォード-

幾何学と代数系 Geometric Algebra -ハミルトン,グラスマン,クリフォード-

  • 曲面を描くために射影幾何をあれやこれややり続けるのに疲れたので、本読みに逃避することにする
  • とはいえ、幾何、で。曲線を描くのに一通りウェブ検索した内容なので、まあ、ぱらぱら、行けるだろうと思う
  • 目次
    • 1.序論
    • 2.代数的記述による3次元幾何学
    • 3.斜交座標
    • 4.ハミルトンの四元数代数
    • 5.グラスマンの外積代数
    • 6.幾何学的とクリフォード代数
    • 7.同次空間とグラスマン-ケイリー代数
    • 8.共形空間と共形幾何学-幾何学的代数(幾何代数)-
    • 9.カメラの幾何学と共形変換
  • 1.序論
    • 幾何学的代数の概説を目的とする
    • 線形代数ではない幾何のための代数学を「線形代数」が確立する前に立ち戻って眺める(ハミルトン代数・グラスマン代数・クリフォード代数がその時代のもの)(ベクトルはあるが、ベクトルや行列の積はできない状態)
    • 「直交座標系」は簡単だけれど、幾何の本領はそれ以外でも考えられることだから、斜交座標を扱い、また、それをうまく扱うために「計量テンソル」があることも知る
    • 幾何代数では、『ベクトルをある要素とその共役な要素で挟む』ことが大事
    • 3次元にとどまるなら、あまり必要ではないが、一般化すると必要になるのがクリフォード代数。クリフォード代数は、ハミルトンの四元数代数とグラスマンの外積代数の一般化。幾何学的代数を支える数学的な構造がクリフォード代数
    • やっぱり大事、射影幾何
    • 0の基底ベクトルと無限の基底ベクトルを加えて、共形幾何学。この5次元空間の中に3次元ユークリッド空間を配置することで、3次元幾何学の取り扱いをやりやすくする
  • 2.代数的記述による3次元幾何学
    • ベクトルは方向と大きさを持った記号であって、数値ベクトルとはみなさない、という立場をとる
    • いろいろなベクトル
      • 移動量。始点を問題にしない。自由ベクトル
      • 方向。単位ベクトルに代表させる(正規化する)
      • 位置。空間に原点を定めることで決まる。位置ベクトル。束縛ベクトル(始点が束縛されているから)
    • ベクトル解析では、このように「異なるもの」をすべて「ベクトル」と呼んで取り扱うことにしている
    • ベクトルにはスカラー倍、交換則・結合則・分配則がある
    • 基底をとると、ベクトルは基底ベクトルのスカラー係数倍の線形和で表せる
    • 2つのベクトルに内積を定義する、非負値、対称性、線形性を満足する。内積は「ベクトルではなくスカラーなので」スカラー積と読んだり、記法に由来してドット積と呼んだりする
    • 2つのベクトルに「ベクトル積」を定義する。この積は「ベクトル」を返す。記法に由来してクロス積と呼ぶこともある。反対称性、線形性を有する。
    • スカラー積」と「ベクトル積」との違いは:スカラーかベクトルか、対称性か反対称性か。共通点は:2つのベクトルに定義されること、線形性があること
    • 射影・反射影、反射、鏡映
      • ベクトルは、ある方向とそれに直交する方向とに分解することができる。その2成分を射影と反射影と呼ぶ。ベクトルをある方向への直線の反対側に折り返したものを反射と呼ぶ。
    • ベクトルは、ある平面にたいして、平面内の成分(射影)と平面の法線成分(反射影)とに分けられる。平面を鏡に見立てたときの像は鏡映であって、「直線に対する反射」が「平面に対する鏡映」になっている
    • その他の基本的な概念に、回転がある
    • 平面は、方向ベクトルとの内積が定スカラーである点の集合として定義できる
    • 点と直線と平面との関係を内積等で表現したのが、代数的記述
    • 内積」はより正確には「ユークリッド計量」と呼び、内積が定義された空間を「ユークリッド空間」と呼ぶ。このユークリッド計量の正値性(非負)を取り去った計量を内積とすることもできて、それは非ユークリッド計量と呼ばれ、それを持つ空間が非ユークリッド空間である
  • 3.斜交座標
    • 斜交座標の基底。相反基底をとる(相反基底は、直交を利用して取り替える…ので両者をつなぐ計算(内積が使われる)が便利に変換可能になる)
    • 元の座標系と相反基底の座標系とで、添え字を上げ下げする
    • 斜交座標系では、異なる基底の内積が0になっていない。したがって計量の計算に基底の組み合わせが総当たりでかかわってくる
    • 基底を用いるか相反基底を用いるかは、方便。両者の間をつなぐのが、計量テンソル
  • 4.ハミルトンの四元数代数
    • 複素数の拡張と見ることもできるが
    • 四元数スカラーとベクトルを組み合わせたものとみなすことができて、四元数の積は内積とベクトル積を同次に計算することに相当する(幾何代数の積が、対称積と非対称積とを併せて計算したもの、ということに対応しているよう…)
    • ハミルトンの四元数代数は、記号の間に積を定義して幾何学的関係を記述する代数的方法の典型
    • 内積とベクトル積の「形式和」で表現する
    • 回転を表すのに便利
    • この便利さを、「スカラー部分」と「ベクトル部分」とに分離して扱う方向に持って行ったのがギブスによる物理学での活用
    • 逆に、4要素をばらさずに、代数構造を一般化して行ったのがクリフォード代数
  • 5.グラスマンの外積代数
    • スカラーとベクトルがある
    • ベクトルにはウェッジ積がある
    • ベクトルのウェッジ積は、0回なら点、1回なら直線、2回なら平面、3回なら3次元超平面…を表すものとする
    • そうすると「代数的にうまく行く」→グラスマンの外積代数
    • これは、全部でn次元の空間で考えると、「k超平面」をk本のベクトルのウェッジ積であらわせるわけだが、それはn-k本の『使っていないベクトル」のウェッジ積に対応づけても「情報の劣化」はない。そのような「裏」表現を双対表現と言う
    • 直接表現・双対表現を使うと、直線・面・(超)平面が「上にある・含まれる・含む」という意味合いと「垂直・直交・直交補空間にある」という意味合いとでそれぞれ代数表現できる
  • 6.幾何学積とクリフォード代数
    • ただし、このベクトルのウェッジ積が「平面」を表すというときに、「平面」はただの「平面」を表しているわけではなく、「平面に体現される『もの』」を表している
    • たとえば、2つのベクトルのウェッジ積は、「平面」を表していて、その平面上の2ベクトルの第1から第2にむかって「ぐるり」と回す回転という意味もあり(回転が平面を作るから平面を表している、という風にも言える)、平面にも回転にも「大きさ、向き」を与えることができる
    • したがって、2つのベクトルのウェッジ積を何かに作用させる、というときは、その2ベクトルが表している「ぐるり」を作用させる、と考えて、演算ルールを作ることが可能であることもわかる
    • 四元数では、異なる要素を「形式和」でつなぎ、その上で和と積がうまいこといくような演算ルールを構成した。クリフォード代数も、外積代数の線形和を導入する
    • クリフォード代数では「幾何学積」を導入する。それがうまく回るような代数系を作るということ
    • 四元数代数系とグラスマン代数系との両方を満足している
    • 対称成分(内積)と非対称成分(外積)との形式和
    • 射影とか反射影とか反射とか鏡映とか、幾何の『本質』として冒頭章で記載した内容が代数演算で表せる
    • ベクトル作用子と呼ぶ「作用子」の演算として記載される
  • 7.同次空間とグラスマン-ケイリー代数
    • 次元を一つ上げて、同次座標を扱うことにする
    • 位置ベクトルは、射影空間上の点を表す
    • 方向ベクトルは、方向に対応する無限遠点で代表させる
    • 同時座標のメリット
      • k次元の座標変換をkxk行列で行うと、原点は原点にしか移らないので、並行移動ができないが、同次座標を使っ(て次元を上げ)て行列演算すると、並行移動が扱える…射影変換
    • 3次元空間の直線は、4次元同次座標では(原点を通る)平面であり、その平面は2つのベクトルで張られている。3次元空間では、2つの点を通る直線に見えている。このように「原点を通るもの」はグラスマン代数の対象だが、3次元的には「原点を通っていないもの」が、4次元によってグラスマン代数で扱えていることになる
    • プリュッカー座標は、この3次元の直線のように、幾何オブジェクトを4次元同次座標でのベクトルの外積代数表現をしたときの、係数のこと。この係数が幾何オブジェクトを一意に表現している
    • グラスマン-ケイリー代数は、直線・平面などの結合関係と交叉関係を代数的に取り扱ってくれる
  • 8.共形空間と共形幾何学幾何学(的)代数ー
    • さらにもう1次元付け加える
    • 点のノルムが0である代わりに、点と点との距離がうまく扱える代数である
    • 距離がうまく扱えるので、距離が一定のオブジェクト(円・球)が基本要素として扱える
    • 変換としては並進・回転・鏡映・反転・拡大縮小がある
    • 共形幾何学では、
      • グラスマン代数を用いることで、直線、平面、球面、円などが外積によって記述できる
      • クリフォード代数を用いれば、共形変換が幾何学積によるベクトル作用子の形で生成できる