論文投稿規程で学ぶ数学表現

  • てふを使うにしろ、ま、色々あるし、スタイルファイルも山ほどあって面倒くさい
  • 自由すぎてつらい、といったところ
  • では、あえて、制約を課してそれだけでやってみよう
  • たとえば"Biostatistics"誌の投稿規程(こちら)
    • スタイルシートは決め打ちで、ジャーナル専用のそれ(BIO.CLS他、サンプルファイル等一括がこちら)
    • "非数学者向けの簡単ガイド The printing of Mathematics: Some Hints for Non-mathematicians"はこちら
  • 非数学者向けの簡単ガイド The printing of Mathematics: Some Hints for Non-mathematicians をまとめる(タイプセッター用、ゲラチェック用、がそもそもの用途らしい)
  • イタリック・ローマン・ボールドの使い分け
    • 数学変数はイタリック
      • 数学変数は初出時に『変数だ』と定義されたもの。式変形((x+y)(x-y)=x^2-y^2のように)できるものが変数
      • 数学では(文字)変数は、1小文字(a=lhは長さxと高さhの積が面積a)
      • 計算機科学では\mathit{Area} = \mathit{Length} \times \mathit{Height}とか。複数文字でイタリック
      • 生物・医学系は\mathrm{MSR}=\frac{\mathrm{MM}}{\mathrm{DR}} のように複数文字でローマンも。(\mathrm)
    • 定数もイタリック
      • 重力加速度g、いわゆる定数項c
    • 演算子にはローマン
      • \log,\cos,\sin,\tan,\exp\log,\cos,...
      • 微分を表す\mathrm{d}、指数関数\mathrm{e}もローマンになりつつある、と
      • \int f(x) \mathrm{d}x
    • 指数関数を\eにするのは、紛れやすいから
      • \mathrm{e}^{-\frac{1}{2 \pi r^2}}の代わりに、\e\{-\frac{1}{2\pi r^2}\}
    • 数学定数もローマン
      • \mathrm{i}=\sqrt{-1}
      • \pi\mathit{\pi}\mathsf{\pi}\mathtt{\pi}は変数のときと円周率の場合で使い分ける??(はてなのてふでは書き分けられないようで、ただの\pi,\maqthit{\pi},\mathsf{\pi},\mathtt{\pi}と並べています…)
    • 添え字(上付き、下付き)もローマン
      • m_{\mathrm{M},T_{\mathrm{min}}\mathrm
    • ベクトルと行列はボールド
      • \mathbf{z},\mathbf{A}\mathbf
      • ベクトル自体とベクトルの要素の書き分けのために、要素に添え字をつけたりする。ベクトルにアンダーバーやオーバーやじるしをつけたりするのもありだけれど、論文ではボールドで表すのが基本
    • ヘブライ文字アレフに限定(\aleph)\aleph
    • 筆記体(Script letters)は集合を表すのに多用されるが、普通のワープロでは扱えないので、トラブルを生みやすい
      • \mathcal{P},\mathcal{k}:\mathcal caligraphy(能書)
    • Frakturもトラブルの元だが
      • \mathfrak{P}\mathfrak
    • Blackboardは自然数有理数…とか
      • \mathbb{R,N,Z,C}\mathbb
    • Sans serif(\mathsf) 数理物理では使い道があるが、行列用としてもも行列に使われる。ただし、たくさん文字フォントを使いすぎて他にないから、これを、という場合もある
      • \mathsf{M}
    • ギリシャ文字、もちろん使います
    • 系列で使う((a,b,c),(x,y,z,w),(p,q),(m,n),(i,j,k,l),(\alpha,\beta,\gamma),(\lambda,\mu,\nu),(\sigma,\tau)
  • スペースの空け方(論文を
    • a+b-ca\, + \, b \, - \,c"thin space" "\,"
    • \cos{A}\sin{B}(cosとAの間に隙間がある)
    • \int\int\int\mathrm{d}x\mathrm{d}y\mathrm{d}z
    • \alpha = \beta +\gamma \qquad \text{and} \qquad a = b + c2式の間に\qquad
  • 分数
    • 独立した式では立てる\frac{1}{\sqrt{2\pi r^2}、本文の中なら寝かす1/\sqrt{2\pi r^2}
  • 句読点
    • 2つの流儀
      • 句読点は数式には使わない
      • 句読点は数式にも普通の文章と同じに使う
    • 数式の桁表現のカンマは使わない。桁を読みやすくするならthin space (\,)
      • 9\,999\,876.123\,456
  • \forallとかも避けるのを推奨
    • "For y greater than 1, for all s\in \mathfrak{P}, z exists and is greater than zero"の方が以下よりよいだろう、と
    • y\,>\,1,\,\forall s \in \mathfrak{P}\, \exists z > 0
  • 式参照は式のナンバリングで
  • カッコ
    • ()の重複、[{( )}]の順序、それぞれ流儀
    • 集合のカッコ{}、ベクトルのカッコ[]、など、意味を乗せたものもある
    • 区間のカッコ(0,1]などは左右で非対称
  • 添え字
    • 文字の大きさは基本、3段階
  • 本文中の分数
    • 縦にしない