座標環

  • k^N空間を考えて、その空間上の関数を考えることがある
  • V \subset k^Nという部分空間を考えて、その空間上の関数を考えることもよいだろう
  • k^N上の関数のすべてを対象にしつつ、同一視することで「つぶす」ことで同値類を取り、おのおのの同値類が、V上の関数を代表しているようにすれば、(形式的に)V上のすべての関数がいかなるものであるかが定まる
  • このようなk^N上の関数の同値類が、環になるので、それを座標環と言うそうだ
  • 以下のサイトの冒頭がわかりやすい

tetobourbaki.hatenablog.com

  • 座標環は、多項式の同値類を定め、代表となる多項式V上の関数に対応づく
  • 今、k^N空間の超平面 x_i=a_iを関数と見て、V上につぶすと、V上の関数が現れる。これを\bar{x_i-a_i}と書くことにする
  • ここで<\bar{x_1-a_1}, \bar{x_2-a_2},...,\bar{x_N-a_N}>というイデアルを考え、V上の点(a_1,...,a_N)と対応付けることにすると、多様体V上の点が、それに対応するイデアルによって定まる多項式環と対応付けることができる
  • これがGeometry-algebra correspondenceというもの(らしい) -> こちら
  • この対応により、零点集合としての代数多様体の圏と可換環の圏との双対関係が取れる(らしい)
  • また、\bar{x_i-a_i}というV上の関数は、Vによって定まる関数をつぶす写像に関して、カーネルに相当する(V上の関数なので、これを他のk^N上の関数に足してやっても、写像の行先に変化はないという意味で、カーネルになっている、と。
  • V上に「格子」を引いて「座標」を与えているので、「座標環」と呼ばれる由来かもしれない

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トーリックイデアルが単項の差になっていること

  • 格子点の集合を考える
  • 格子点座標を変数の指数とすれば、格子点は単項式
  • 格子点が作る図形(凸包と内部点)を考える
  • どの格子点ペアが凸包の外周になっているかはわからないので、すべてのペアについて考えることにする
  • 格子点ペアを結ぶベクトルは、「二つの単項式の差」~これがトーリックイデアルか?
  • 格子点集合を射影空間に置くと、錐ができて、その内部に格子点が現れる。原点から遠くに行けば行くほど格子点は増える。その増えてた格子点も、うまくすると、トーリックイデアル(の射影空間版)でうまく「到達」できることを議論したい?
  • 以下の文書を眺めながら思ったこと・・・

https://www.math.tamu.edu/~sottile/research/pdf/vilnius.pdf

多項式環、ザリスキ位相のメモ

  • 団代数・トロピカル代数絡みで多項式環を勉強している
  • 多項式環には意義があるのだろうけれど、そもそもの動機とでも言うようなものが想像できなくて困っていた
  • ここに、「ある条件で、ある代数曲線に接する多項式関数の集合」を例にして、「その集合」がどのように定義されるかの説明があった

tsujimotter.hatenablog.com

  • ようやく、動機付けができた
  • その上で、ザリスキ位相という「多項式」をある条件で「同じとみなし(同一点とみなし)」、別の条件では「別物とみなす(非同一点とみなす)」ような位相についても言及があった
  • 多項式関数の集合は連続関数だけれども、連続関数全体の集合よりも稠密性が低く(個数が少ない)、定数関数の集合を含むけれども定数関数の集合よりも稠密性が高い(個数が多い)ので、関数を多様体上の点として考えるときには、うまく同一視と非同一視をするためには、位相の細かさを連続関数 > 多項式関数 > 定数関数 としなければならなくて、そのような位相の細かさを作っているのが、ザリスキ位相だ、との説明がある。
  • 以下の記事とツイッターの絵

peng225.hatenablog.com

  • 多項式関数集合が連続関数集合よりも「薄い」のは有理数が実数より「薄い」ことと似たような話だろう
  • また、多項式関数の同一視・非同一視をうまくしてくれるザリスキ位相は、(接空間が)線形な定義でなされるようだが、多項式環が、ローラン単項式の線形和(単項が変数の整数ベクトル乗)であることと線形性との関係から、出てくる話なのだろう

ぱらぱらめくる『Toric degenerations: a bridge between representation theory, tropical geometry and cluster algebras』

arxiv.org

イントロダクション

  • トーリック多様体は、次元・自由度と言った幾何的な内容と、扇・多面体と言った組み合わせ論的な内容とを横断するトピック
  • (トーリック/グラスマン/射影)代数多様体を定めるイデアル(多項式)に変数を付け加えて、変化させる(degenerationする)。それによって新しいイデアルが作れる(例えば、多項式 (第1項) - (第2項) + (第3項)のようなイデアルがあったときに、パラメタ t を用いて、 (第1項) - (第2項) + t (第3項)という多項式を作る。t=1のときは、この(トーリック/グラスマン/射影)多様体そのものであり、t=0にすると第3項を失った多項式ができる)が、この多項式イデアルとなっているようなトーリック多様体を考えることに意味があれば、(トーリック/グラスマン/射影)多様体を変化させて別のトーリック多様体が取り出せたことになる
  • トーリック多様体へと変化させるので、Toric Degenerationと言う(多分...)
    • 代数多様体イデアルは、必ずしもトーリック多様体イデアルの条件を満足しない
    • 特定の代数多様体(射影多様体 → グラスマニアン → 旗多様体 → … → ”Borel subgroupg of connected complex reductive algebraic group"のような…)では、Toric degenerationができるらしい
    • そのためには、何か工夫が必要で、「順序のないものに都合のよい順序を入れる」ことが大切なようだ。。。もしくは、「順序のないものに順序を定めることによって、その順序がToric degenerationをするための情報を提供し、具体的な方法を規定する」というような感じだろうか
  • どんな変化degenerationが、何をもたらすかを調べることは面白い(かもしれない)
  • そのToric degenerationが関係する3分野が
    • (リー群)の表現論
    • トロピカル幾何
    • 団代数理論
  • 背景
    • 整数座標頂点で出来た(凸)多面体はニュートン多面体。それの一般化がNewton-Okounkov body。これが群の表現論・トロピカル幾何・団代数で扱われる
    • Birational sequences
      • 非トーリック多様体をトーリック多様体にToric degenerationするときに大事な要素が「(何かの)順序」らしい
      • そのような順序の1つは、多項式環の変数が作る単項式の順序(グレブナー基底を決めるときに定めたようなものと思われる)
      • そしてもう一つが、Birational sequences of positive roots 。このPositive rootsというのは、トーリック多様体にdegenerationしたい非トーリック多様体(ボレル多様体)を部分多様体として含む「Connected complex reductive algebraic group」のそれ
      • 群の表現論を使って、このボレル多様体とかそういうものを扱うので、正方行列的にこの辺りのことを説明すると、行列全体が群であるところ、行列の部分集合も群となっているわけだが、この部分行列を全体の「商」とみなして、「色々する」話
      • その正方行列の「商」を考えることと、射影多様体・グラスマン多様体(・旗多様体…)が、Plucker座標で表されつつ、Plucker座標は同次座標であるから、異なるPlucker 座標が同じ点を表していることが、「商」を考えることだったり、グラスマニアンのある点を表現する長方形行列の取り方が複数あることが、「商」を考えることだったりすることと関係するようだ
      • ちなみに、Toric degenerationされる射影多様体・グラスマニアン・旗多様体などは「等質空間」と称される。等質空間についてはこちら:
      • http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/tamaru/files/06kumamoto.pdf
    • Tropical geomery
      • トロピカル幾何は多面体と代数幾何を結ぶ仕組み
      • 代数多様体の立場で言うと、複素多様体の複素Cを、トロピカル半環に置き換えるとどうなるか、特に、その射影多様体はどうなるか、に主眼を置くのが、この文書
      • 射影的な多様体(射影多様体)は(射影幾何の同時座標が成り立つことからもわかるように)斉次多項式イデアルで決まるが、それのトロピカル化をすると、射影多様体の組合せ的側面を表したものに変換される
      • 射影多様体に関連するグレブナー扇の中に、その射影多様体をトロピカル化したものが含まれる。それがトーリック多様体になっているらしい
      • 例。Gr(2,C^n)をトロピカル化すると、trivalent trees with n leavesになる
      • 射影多様体・グラスマニアンのトロピカル化はある程度分かっているが、それを旗多様体にまで上げると難しくなる
    • Cluster algebras
      • 2つの相互にmirror dual な団多様体を持つ
      • その片方であるX-cluster variety はローラン多項式と関係があって、そのトロピカル化がpolyhedral cone/polytopeをもたらすと言う
      • 同じ枠組みがグラスマニアンにも認められる。polytopeと紐づけられる
  • 結果
    • Valuations and their weighting matrices
      • (射影)多様体は(複数の)多項式=0を満足する点の集合であり、多項式がすべて斉次のとき、多項式の変数の値を定数倍しても多項式制約が変わらず満足されるから、射影多様体はそういう多項式制約を持つ。このような多項式を組み合わせて新たな多項式を作っても(作り方をきちんとすれば)相変わらず、その新たな多項式=0を満足するので、そのような多項式の集合~環が射影多様体の情報を背負っている。その多項式環をいい具合に張ってくれる、多項式のセットがイデアル。このイデアルの下で、全多項式を「同値類」扱いにして、その「同値」な多項式を一つの点に対応付けたい。その対応付ける先を格子点としたい。この格子点の対応付けがvaluation。多項式環がn変数で張られているところ、イデアルは(?)d個の多項式だとすると、nxd行列がその対応付け(valuation)を定める。そしてこのnxd行列をWeighting matrixと呼ぶ。そんな話
    • Toric degenerations of Grassmannians
      • グラスマニアンをトロピカル化する方法はあるらしい
      • グラスマニアンのPlucker座標を使うと、射影空間にグラスマニアンを埋め込めるから、射影多様体で使ったvaluationとWeighting matrixとが使える
      • 特定のグラスマニアンをトロピカルグラスマニアンにする"birational sequences"(特定の代数ルーツの順序付けが特定のトロピカル化に対応するらしい)
      • 大本の多項式環の変数の順序"birational sequence" が重要だが、グラスマニアンの場合は"iterated sequence"と称するものとして定義できるようだ
      • 特にGr(2,C^n)の場合には、labelled trivalent treeとそのiterated sequenceが関係する
      • iterated sequenceが定まると、グラスマニアンのトロピカル化したもののmaximal prime coneというものを扱えるようになる。そしてトーリックdegenerationもできるようになる
      • Plabic graphを用いて、特定のグラスマニアンと団代数組み合わせとの関係も示せる
      • グラスマニアンとplabic グラフには対応が取れる。plabic グラフを介して団代数が見える。そのA-団変数はグラスマニアンのPlucker coordinateと関係式を持つ
      • Plabic graphのvaluationがPlucker coordinateとつながる。このPlabic graphのvaluationからトーリックdegenerationができる。それはグラスマニアンのトロピカル化になっている。Newton-Okounkov bodyと関係して、これはvaluationの像の凸包
      • 特にGr(2,C^n)を考えると、そのPlabic graphからのinitial idealと、対応するlabelled trivalent graphからのinitial idealとは一致する
    • Toric degenerations of flag and Schubert varieties
      • 多様体シューベルト多様体も特定のタイプについてString polytopeと結びつけられる
      • その結びつきもトロピカル化を介して行われるらしい
      • ここまでくると、かなり色々とややこしくなる。旗多様体(シューベルト多様体)の入れ子構造を説明する「順序」の場合の数が増えてきたりして、それをうまくハンドリングするために、旗多様体(シューベルト多様体)の議論で使いまわされる道具立てが入り乱れるから
      • そこの議論に、今までなかったトロピカル化を投入し、トーリックdegenerationの議論をかぶせるから

General Theory

  • SL_n(\mathbf{C})の表現論→こちら
    • SL_n(C)は複素正方行列でトレースが0出るようなものに[A,B]= AB -BAという計算を持たせたもの
  • この行列を対角成分の行列と、上三角(対角成分はゼロ)と下三角(対角成分はゼロ)とに分けることができるが、それぞれが部分リー環になっている
    • n次元空間を張る正規直交基底ベクトルの個数はn個だが、この基底ベクトルのペアを取ると、n(n-1)/2個のベクトルが作れる。このn(n-1)/2個の値に対応するベクトルも、何かしら、この空間をうまく張ったベクトルのセットになる。このベクトルのセットがルート系(たぶん)
    • n(n-1)/2通りをうまく区別するものを作ってみよう。上三角のうち対角成分を除いたセルの数がn(n-1)/2なので、その一つのセルをn(n-1)/2のそれに対応付ける。下三角は、その負(ベクトルのペアを取って差をとるときに、順序を考慮すると、差の(-1)倍がそれになる)とする。対角成分には、2つの基底ベクトルの+1分と-1分とを対応付けて、2か所に値を入れる。そのようにして対角成分に対応するものをh、上三角(対角成分なし)に対応するのをe、下三角のそれをfとして3つの行列を扱う
    • この対角成分を持ったhの行列をn次元ベクトルに作用させたときに、ある特定のベクトルをもたらすような、n次元ベクトルの集合は、何かしらの定義を受けた部分空間になる。こんな部分空間をウェイト空間と言うらしい
    • この話は、先ほど作った基底ベクトルの差のベクトルのセットはルート系(たぶん)なのだが、それに対応づいて、n次元空間が部分空間に分解される。この分解はきれいに分解してくれて、名前がついている。Weylセル
    • ちょっと飛躍するが、このWeyl分解がn-1個の非負整数の組によって決まるらしい(この非負整数ベクトルが、この先、多項式環の変数の指数とかと関係していくのだろう)
  • トロピカル幾何
    • 多項式f(w=(w_1,w_2))=w_1^3 + 2w_1^2w_2- w_2^3があったとする
    • この多項式をトロピカル化するとTrop(f)w=(w_1,w_2)に値を与える関数になるが、図形的に言うと、f(w)が曲面なのに対して、Trop(f)(w)は多面体的になる
    • 具体的には、Trop(f)(w) = min\{3 w_1, 2w_1+w_2,3w_2\}となる。これは、wの場所によって、3つの1次式がそれぞれ定める平らな面のどれかを取る(最小のものを取る)という意味である
    • ここで、多項式関数f(w)の各項の指数をベクトルとして見てみる。たとえば、第1項ならば、(3,0)、第2項ならば、(2,1)である。そうすると、Trop(f)の要素たる1次式は、w\cdot uに一致することがわかる
    • 以下に、"initial form"というものが、内積で説明されているが、多項式関数をトロピカル化した関数は、内積w \cdot uを使って説明できることと関係している
    • 多項式のInitial form:多項式 f = \sum a_{\mathbf{u}} \prod_{i=1}^n x_i^{u_i}があったとき、Weight vector \mathbf{w}が与えられたときに、fの各項の係数ベクトル\mathbf{u}\mathbf{w}との内積を取ってみる。その内積が最小値の項だけに絞って、足し合わせた多項式をinitial formと言う。例えば、f = x_1^2 + x_2w = (1,0)だと、x_1^2の項のuは(2,0)であり、wとの内積は2。他方、第二項x_2のuは(0,1)であり、wとの積は0。したがって、内積が0の項が「最小内積」を持つから、その項だけ取り出して、fのinitial formはx_2
    • 今、多項式イデアル(セット)があたえられているとき、イデアルについてもinitial formを定義したい。イデアルは、与えられた多項式のそれぞれと、それらを組み合わせた多項式全体を指すから、イデアルを表現するべく示された、厳選された多項式のそれぞれのinitial formだけでなく、作り上げられるすべての多項式について、どんなinitial formが得られるかを列挙する必要がある。とはいえ、そのinitial formも(たぶん)厳選された多項式によってうまく張られるのだろう。
    • 多項式f(x)が与えられたとき、f(x)=0は多様体を表す。同様にfをトロピカル化してTrop(f)としたとき、それに対応する多様体を取ることができる。Trop(f)=0を取るのではなくて、トロピカル化して多面体的になっているときの、「交線」の集まりをそれとする。トロピカル化してできた一次式が2つ以上同じ値を取る点の集合という説明もできる
    • このようにして、トロピカル化した関数に対する代数多様体が定まった。今、多項式イデアルは、複数の多項式によって張られた関数の集合だが、それに対する代数多様体というものも定まる。イデアルをトロピカル化して、それの代数多様体を取ることを考える。それを、イデアルの構成多項式関数のトロピカル化多様体を全部合わせた点集合をそれとする。どうしてそうするかと言うと(多分)そうすることで首尾一貫した何かよい素性が現れるからだろう。そのあたりのことと、initial formの決め方などが関連づいている(はず)
  • Valuations
    • 関数に座標を与えること。もちろん、うまいルールが必要。格子点に対応させることもある(それが(多分)主題)
    • 順序を導入しないとValuationsの話はできないらしい
  • Quasi-valuations
    • さらに拡張。相変わらず、順序が必要
  • Cluster algebras
    • 団代数は箙とその変異で説明できる
    • 辺に変数が付随し、それはローラン多項式になっている
    • GrassmannianのPlucker coordinatesとそれが満足する制約式は、多項式環になっており、団代数でも説明できる。特定のルート系とも関連づいたりする
    • 団変数に格子を対応付けると、団変異は格子上の点の移動に対応づく
    • Cluster variety。グラスマニアンは、長方形行列をPlucker座標で埋め込んで、それらが行き会う関係でできた多様体(座標の冗長性なども考慮)。それに対応するのがCluster variety。(ある)グラスマニアンに団代数が付随することからも、似たような関係であることがわかる。団代数では団変数が変異して、変異しているうちに元に戻ったりする。それが多項式環になっている。団代数では、箙のたくさんの辺のそれぞれに多項式が張り付いており、そのセットが特定の箙を表している。変異は箙の辺の数だけあるから、Cluster varietyの「つながる先の数は辺の数」だけある。そうやってできている「行き会う関係の総体」がCluster varietyをなしており、その各点に特定の箙が対応づいている

グラスマニアン

  • グラスマニアンは、Plucker coordinatesで座標化される
    • Plucker coordinatesは冗長性があり、その冗長性は射影幾何的に潰せる
    • また、Plucker coordinatesの値の間にはPlucker relationと言うものがある(行列式が満足する相互関係)
    • Gr(k,n)では、k-1個の組と、k+1個の組を考え、k+1個の組の方から、1つずつ除去してk-1個の組の方に加えてやると、両方ともk個の組になる。その2組のk個のセットで行と列とを決めた正方行列を作れば小行列式(Plucker 座標)が決まる。それらを、k+1個の組のすべての要素について、符号に注意して足し合わせると、そこには制約がある。この制約の集合をPlucker relationと言う
    • Plucker relationは(斉次)多項式のセットであり、それをイデアルとして代数多様体(零点集合)が決まる
    • これらの冗長性・同一視性・制約関係の結果、グラスマニアン全体が代数多様体になっている
  • それをトロピカル化してみる
    • Plucker relationをイデアルとする代数多様体が得られているが、それをトロピカル化することで、得られるのが、トロピカル化グラスマニアン
    • Gr(2,n)の場合のトロピカル化グラスマニアンが、単位球面と交差するところに系統樹が現れるという。系統樹なので、2分岐木(頂点次数は3)
  • Birational sequenceの議論は、基礎知識の欠如により、全く歯が立たない…
    • Plabic graphを使ってToric degeneration

多様体シューベルト多様体

  • n本の紐のセットがあって、左端は上から順番に番号が振られ、右側は下から順番に番号が振られている。紐のペアは1回だけ交叉するようにして、i番の紐が、左の上からi番目を出発し、右の下からi番目に到着するようにすると、その紐が区画する領域には、[1,2,...,n]の冪集合の一部が現れ、紐の配置を変えると、現れる冪集合要素が変化する。ここに団代数が付随している
  • この冪集合の扱いが旗多様体と同じ形
  • これが、行列の正定値性のうちの、「旗的 小行列」の正定値性を保証する。「旗的、小行列」というのは、部分正方行列の行は、任意の組み合わせだが、列は、1,2,...,kと前詰めの組しか許さないから
  • 紐のセットを2つ用意することで、行も任意の組、列も任意の組として、全正値性を保証する話に持っていける
  • Schubert 多様体についてはこちらを→

https://icerm.brown.edu/materials/Slides/sp-s13-off_weeks/Schubert_varieties_and_Schubert_calculus_%5D_Sara_Billey,_University_of_Washington.pdf

    • グラスマニアンの部分集合になっていて、長方形行列を見ると、ある列を取り出したときに単位小行列が含まれている
    • plabic graphで{s1,s2,...,sk}から{t1,t2,...,tk}へと非交叉パスを作るとき、sとtとで共通な頂点があるときには、四の五の言わずに、その点でとどまっていろ、というように考えるが、それと対応するのが、部分単位小行列
    • ??そうすることによって、(線形な)部分多様体として、異なる多様体次元のものを束ねたような多様体を指し示すことができる??。。。それがシューベルト多様体??
    • グラスマニアン(グラスマン多様体)のうち、ある条件を満たした部分集合がシューベルト多様体
      • どのような条件を満たすかというと、定義は長くなるが…
      • まず、k x n行列(k <= n)を考える。これは、グラスマニアンの1点
      • k x n 行列は、行簡約階段形という形にできる(Wiki記事)
        • kxk 単位行列が、n列の中に含まれるようにして、かつ、その単位行列の値1の成分より右側は、全部0であるように掃きだした形
        • 例えば、3 x 10 行列で、単位行列を作る列がJ = \{3,7,9\}とすると、\begin{pmatrix} * & * & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ * & * & 0 & * &* &* & 1 & 0 & 0 & 0 \\ * & * &  0 & * & * & * & 0 &* & 1 & 0 \end{pmatrix}
      • ここで J = \{j_1,...,j_k\}にはj_i < j_{i+1}なる制約がある
      • この<の制約を\leの制約に変えるために、j_i - i = \lambda_iという変換をする。これにより、J = \mathbf{\lambda}となり、\lambda_1 \le ... \le \lambda_kとなる。J = \{3,7,9\}の場合には、\mathbf{\lambda} = \{2,5,6\}となる
      • k x n 行列で*のセルの数(ルールとして、単位行列の列になっておらず、掃きだして0になっていないセルの数)をdim(C_J)と呼ぶ。この式は、\sum_{i=1}^k (j_i-1) = \sum_{i=1}^k \lambda_i = |\mathbf{\lambda}|。{3,7,9}の場合は、2+5 + 6 = 13
      • Plucker座標が、必ず0になる場合もあって、その数は\sum_{i=1}^k (n-j_i - (k-i) = nk -k^2 - \sum_{i=1}^k j_i = \sum_{i=1}^k n-\lambda_i -k = nk - k^2 - dim(C_J)と計算される。J=\{3,7,9\}の場合は8
      • \mathbf{\lambda}N = \sum_{i=1}^k \lambda_iの(昇順)整数分割と見ることができる
      • 縦にk行、横に最大\lambda_{k}列を作ると、階段状のブロックができる。階段を作るピース正方形の数はdim(C_J)である
      • このブロックの形状を shape(\mathbf{\lambda})と呼ぶことにすると、このNの値が大きければ大きいほど、shapeは広く、あるshape(\mathbf{\lambda})が別のshape(\mathbf{\lambda'})を覆いつくすこともある
      • 2つのshapeがあったとき、片方がもう片方を覆いつくすこともあり、覆いつくす関係が逆のこともあるが、どちらを上にしても下がはみ出すこともある。したがって、この覆い隠す・覆い隠されるの関係は半順序である
      • 今あるJが与えられたときに、そのshapeが覆いつくすJ'のすべてについてを集めると、グラスマニアン全体の部分集合になる。そしてその部分集合が多様体をなしている
      • これがシューベルト多様体
    • 多様体シューベルト多様体と同じ方式で説明すると・・・
      • やはりグラスマニアンの部分集合
      • nxn行列から始める
      • 行簡約階段形を作り、それが示すn個の多項式が張る空間のことらしい
      • 行簡約階段形を作ると、単位行列を構成する列がn-1列でき、その列に参加しない列の最下行に1が立つ。n-1列と、最下行の1を使って、巡回行列とみなすと、この行列には順列が隠れていることになる

トーリック多様体のメモ

  • トーリック多様体というのがある
  • 幾何と組み合わせ論とをつないでくれるらしい
  • 抽象化した概念なので、具体例からまとめていくと、うまくない点もある模様
  • そのような理由もあって、トーリック多様体の定義から入ると、何が何だかわからなくなるようだ
  • というわけで、一つのアプローチで、具体的なところからトーリック多様体が定義される道筋をたどってみることにする

https://arxiv.org/pdf/0808.2749.pdf

  • この文書の冒頭を使ってみる(もしかすると、定義式などがやや怪しいように思うのだが…)
  • 組み合わせ論と関係があることから、格子点 集合Z^nからスタートする
  • 格子点集合から、いくつかの点を選ぶと、うまくすると凸包・凸多面体とその内部が現れる。2次元平面格子に3点取って、三角形を得るようなもののこと。凸包にならずに開放端ができることもある
  • この空間は、格子点の集合と、格子点の隙間を埋めることのできる実数とを組み合わせて「表示」することが可能
  • 先ほど選んだ格子点部分集合をいじることにする
  • 格子点部分集合のある頂点を選び、残りの頂点に向かって進むことを考える。その直線上には繰り返し格子点が現れる
  • ある頂点を選び、残りの頂点への直線で錐を作る。この錐を構成する直線上にも平面上にも内部空間中にも格子点が含まれる。また、この錐の任意の点は、選び直した点部分集合の線形和で表せる
  • 選び直した点部分集合により、錐を過不足なく張れるとき、基底として働く。その中の「素」なものを定義する
  • 話を多項式に移す
  • n次元格子点の座標をn変数単項式の指数とみなす。すべての格子点を考えると、ローラン多項式環になる
  • その基底は\{z_1^{\pm 1},z_2^{\pm 1},...,z_n^{\pm 1}\}
  • 錐を張る基底に対応する単項式も多項式環を定める
  • この多項式環は、代数構造(どれとどれを合わせるとどれになる・・・という関係)を持つが、その代数構造をSpectrumと言うらしい。この多項式環の構造をもたせることで「ザリスキ位相」を持った多様体としての体裁が整うらしい
  • この格子点を指数とする単項式が構成する多項式環に、(ザリスキ)位相をもたせた多様体のことがトーリック多様体(らしい)
  • 冒頭で引用した文書の式定義に一部、??、があるので、同文書は、概略を追いかけるために使わせていただくことにして、より詳細に記載してある文書(おそらく、式などの確認について、安心度が高いと思われる)はこちら

https://www2.math.ethz.ch/education/bachelor/lectures/fs2015/math/alg_geom/brasselet

  • その他、うんちく
    • トーリック多様体は、「トーラス」に関する話で、トーリック多様体にはトーラスがぎっしり詰まっている、とも説明される。トーラスを「ドーナツ」と思うと、なんだかよく解らなくなる…
    • トーラスは、代数的には次のように考えるのだと言う
      • そもそも円環がドーナツ型なので、円環をトーラス的なものと見る、というところからスタートする
      • 複素数で考えると、それはノルムが1の複素数の集合
      • 複素数のうち、ノルムが1の集合は、「閉じているいい感じ(コンパクトで均一)の集合」であり、代数構造にもなっているので…
      • 『位相体のコンパクトな乗法群の直積に同型となるコンパクト群をトーラスと呼ぶことがある(Wikipedia)』…と言うことから、閉じている代数構造(そこら中で同じ代数演算ルールが成り立っている構造)を指して、代数的トーラスと呼ばれる
    • Spectrumについては:

Spec(Z) in nLab

    • 多項式環を考えるときに、多項式集合は「数の拡張」と考えることができて、数に素数自然数有理数・実数直線などがあるように、多項式集合にも、小規模によく閉じた部分集合から、それを含めた大きな部分集合などが定義される。その関係をFunction-Field Analogyと言うらしい →
      • 代数関数については

代数関数 - Wikipedia

    • 格子点のことを考えるとき、ある格子点集合を取ったときに、その格子点集合ですべての格子点が表せるかどうかが気になることがある。そのとき、格子点座標をセル値に持つ行列の行列式\pm 1になるかどうかで、全格子点が網羅できるかどうかの判定ができるという。この性質を持つ整数行列をunimodular 行列と言う

Unimodular lattice - Wikipedia