ぱらぱらめくる『量子ウォーク』

量子ウォーク

量子ウォーク

  • 目次
    • 第1章 ランダムウォーク
    • 第2章 量子ウォークとは
    • 第3章 1次元2状態量子ウォーク
    • 第4章 量子ウォークの解析
    • 第5章 1次元3状態量子ウォーク
    • 第6章 空間依存型量子ウォーク
    • 第7章 直交多項式
    • 第8章 区間上の量子ウォーク
    • 第9章 半直線上の量子ウォーク
    • 第10章 有限グラフ上の量子ウォーク
  • 第1章 ランダムウォーク
    • 1次元では二項分布
    • 再帰確率は、元の場所に戻る確率
      • 1次元の場合、その確率はR=1-|p-q|(p,qはそれぞれ左右に動く確率)
      • p=qの場合、R=1、それ以外はR<1
      • 偶数時刻2nにおいて再帰している確率はr_{2n}(0)=\frac{(2n)!}{(n!)^2}(pq)^n
    • 次元が上がると多項分布。対応する再帰確率も多項対応
    • 時刻nにおける再帰確率はnを大きくすると0に収束する。それがどれくらい速く収束するか、などを計算するためにスターリングの公式を用いる
  • 第2章 量子ウォークとは
    • 量子的な振る舞いの特徴
      • 確率的に存在する(位置に関する情報)
      • キラリティ(カイラリティ,chirallity):左向きか右向きか(1次元・2状態モデルの場合)(動き(時間微分)に関する情報)
        • カイラリティは動く方向を決めているわけではない
        • カイラリティを持つのは離散時間量子ウォークモデルだけであって、連続時間量子ウォークモデルはカイラリティを持たない
    • 量子ウォークの定義
      • 初期状態
        • 時刻0に、原点に局在しているという状態を初期状態とする
        • カイラリティとして左右二状態があるので\Phi=\{\phi= \left[ \alpha \\ \beta \right] \in \mathbf{C}^2: ||\phi||^2 = 1 \}という記法を使う
        • ただしブラ・ケット記法を用いて\phi = \alpha | L \rangle + \beta | R \rangle のことで、\alpha,\betaは左右二状態の確率を表すためのパラメタであって、|\alpha|^2が左状態の確率ということ
        • 原点で、このような状態にあり|\alpha|^2+|\beta|^2=1なので、原点にしか存在せず、それ以外の位置では0 | L \rangle + 0 | R \rangle のように「確率0」状態にある
      • 推移
        • 左右への一歩がどれくらいの確率で起きるかを、2x2ユニタリ行列U=\left[ a \:  b \\ c \: d \right] = P + Q = \left[ a \:  b \\ 0 \: 0 \right] + \left[ 0 \:  0 \\ c \: d \right]  で表す
          • 通常のランダムウォークで、1=p +qのように左右への移動確率を定めることに対応する
          • ただし、PとQとを上段・下段に分けるという方針に固執する必要はないかもしれないが、有限範囲・無限範囲を考えて行列を大きくしたときにユニタリ性を持たせるためには、このように分けることが必要かもしれない
        • P\left[ \alpha \\ \beta \right]= \left[ a\alpha + b\beta \\ 0 \right]=(a\alpha+b\beta) | L \rangle
        • Q\left[ \alpha \\ \beta \right]= \left[0 \\  c\alpha + d\beta \right]=(c\alpha+d\beta) | R \rangle
        • これは、ある位置に\left[ \alpha \\ \beta \right]という二状態で存在していたとすると、次の時刻には、1だけ左の位置に、(a\alpha+b\beta) | L \rangle という確率重み付き左状態に存在し、1だけ右の位置に、(c\alpha+d\beta) | R \rangle という確率重み付き右状態で存在する、とする
        • 別の側面から言うと、ある位置に左状態であった量子ウォーカーは、次の時刻に|a|^2の確率で1だけ左の位置に左状態で存在し、|c|^2の確率で1だけ右の位置に右状態で存在する。なお、ユニタリ行列の定義から|a|^2+|c|^2=1である
    • ただし、量子ウォークには、別の定義もある
      • 上で見たP + Q = \left[ a \:  b \\ 0 \: 0 \right] + \left[ 0 \:  0 \\ c \: d \right]  をAmbainis型と言う
      • P + Q = \left[ a \:  0 \\ c \: 0 \right] + \left[ 0 \: b \\ 0 \: d \right]  をGudder型と言う
      • P + Q = \left[ 0 \:  0 \\ c \: d \right] + \left[ a \: b \\ 0 \: 0 \right]  をフリップ-フロップ型と言う
      • P + Q = \left[ 0 \:  b \\ 0 \: d \right] + \left[ a \: 0 \\ c \: 0 \right]  もモデルとして成立する
    • 量子ウォークを続けると、時刻nには、n歩の内訳が左にl歩、右にr歩のn=l+rとなる場合というのがある。今、時刻nに座標xに居る、というのは、このようなn=l+r分解のうち、-l+r=xとなる場合のすべてについて、足し合わせた確率と左右状態の総和になる
    • 特徴
      • ランダムウォークが時間の平方根に応じた広がりを持つのに対して、量子ウォークは時間に応じた広がりを持つ(線形性)
    • ごくシンプルなAmbainis型にアダマール・ウォークがある
      • パス全体の総和が必要だが、P,Qに制約があるので、うまく書き下すことができる(特性関数化する)
      • 量子ウォークは局在をもたらす
  • 第3章 1次元2状態量子ウォーク
    • たくさんの位置に関して移動を表す行列を作ることができる。その構成要素がP,Qになる
    • この行列は、最終的に「無限次元化」する
    • 特性関数で挙動を表すことができる
    • 関数からウォークが作る分布について特徴を引き出すことができる
    • 特徴は「測度」
    • 停留量子ウォーク、自由量子ウォーク、アダマールウォークなどがこのアプローチで扱える
  • 第4章 量子ウォークの解析手法
    • フーリエ解析
      • 空間的に一様(場所によって量子コインが変わらない)モデルで使える
      • フーリエ解析に基づくGJS法
      • 出発点が多数の場合
    • 停留位相法も空間一様に対する方法
    • 母関数法
      • 空間依存性量子ウォークにも使える
      • アダマール法に適用してみる
  • 第5章 1次元3状態量子ウォーク
    • 左右に移動するだけでなく、その場にとどまる、という状態を含めて3状態
    • さらに多状態
  • 第6章 空間依存型量子ウォーク
    • すべての場所に依存して量子コインが異なる量子ウォークは難しい
    • 原点だけ特殊にするのは、解析しやすい空間依存型量子ウォークの例
  • 第7章 直交多項式
    • 推移を多地点対応の大きな行列(無限次元も?)にした上で考える
    • 後は(複素)行列に関する検討になる
    • そこに直交多項式を使う
  • 第8章 区間上の量子ウォーク
  • 第9章 半直線上の量子ウォーク
  • 第10章 有限グラフ上の量子ウォーク