Random Geometry on the Sphere
- ネタ文書はこちら
- イントロに入る前のイントロ
- 球面にグラフが張り付いているとする
- グラフをたどる距離「グラフ的距離」というものがあるので、球面のうちグラフのノード間には「グラフ的距離」が定まる
- グラフを密にしていけば、その極限では、球面上のすべての点はグラフ上の点となるから、球面上の点の間に「グラフ的距離」が決まる
- グラフが球面について対称ならば、極限としての「グラフ的距離」は球面上の大円をたどる距離となるが、グラフに粗密があれば、そうではない
- このように球面にグラフを介することで、距離関係を入れることを考える
- そして、距離関係をランダムに入れるとどういうことになるのかを考える
- そのような距離関係(metric)の分布はBrownian mapになるという
- イントロ
- 球面に平面グラフを張り付けて考える。しかも多角形化グラフという平面グラフを張り付けることにする。三角化グラフもよく使うし四角形化グラフも使う
- この多角形化グラフを扱うにあたり、一つのエッジを取り出しそれに向きを付けて基準とする。このルートエッジの取り方によりその多角形化グラフの有向化のやり方は決まる
- 今、多角形数nとなるような多角形化グラフは有限個に数え上げることができる(ただしnは偶数)。したがってその全グラフの集合から取り出せばそれはうまいことランダムに取り出すことになる
- 三角化グラフを球面に埋め込む方法としてはCircle packingと言う方法でできそうだとか、リーマン面のuniformizatio theoremとか言う方法で、うまく(canonicalに)やろうという研究が進んでいるが、この文書では別の方法でやってみる
- 別の方法とはグラフ上の距離関係metricが色々とれるときにそのmetric間の異同にGromov-Hausdorff距離を入れて考えてみよう、というものである。そしてそれがBrownian mapに知られるmetricに収束する、というものである
- またこのBrownian mapという極限は平面グラフとして何角形を使おうが、それ以外の方法を使おうが同じであるなどの性質もあり、「一般的」なものであることもわかる
- このように「ランダムな曲面」として素直で一般的と考えられるBrownian mapのハウスドルフ次元は4である
- 上記を背景として、確かにBrownian mapに収束することと、Brownian continuum random tree (CRT)を使って確かにランダムmetric spaceが作れることを示すことがこの文書の目的
- 後続章の構成
- 平面マップと木との1対1対応
- 木は平面的
- 木にルートノードを持たせる
- ルートノードのラベルを0とし、すべてのノードに正の整数値ラベルを持たせる
- 隣接するラベルの値の差を1とするか1以下(0か1か)とするかのどちらかとする
- あるルールでこの木にエッジを加えると平面的なルートのある三角化グラフ・四角化グラフができる。隣接ラベルの値の差が1のときに三角化、1以下のときに四角化ができる
- 0ラベルノードとその隣にある唯一のノードの間のエッジが三角化・四角化グラフのルートエッジに相当する
- このようなラベルを持った木をWell-labeled treeと呼ぶ
- 結局、木構造とそのラベル付けのパターンが作るすべての場合が三角化・四角化と1対1対応する
- これをCori-Vauquelin-Schaeffer bijectionと言う
- このラベルの値は木であっても平面グラフ化した後でも、ルートノードからのグラフ的距離になっている
- 任意の2ノード間の距離は、ルートノードからの距離を使って、木の外側を時計回り・反時計回りに回るときの値の上下・値の谷底値を考慮することでわかるし、それを使って点間グラフ的距離の上限値が定まったりする
- Brownian map
- Well-labeled treeからp-angulationして、面上の点に点間距離を入れ、その点の数を無限大にして極限を取る、というときに、最後、点がぎっちりいっぱいになるので、どの木・p-angulationからぎっちりに至ったかについて区別しないと、極限が取れない。したがって、木が埋め込まれている状態同士の間の遠近評価が必要となる。その入れ方としてGromov-Hausdorff distanceを使うという
- 簡単に言えば、二つのmetric spacesを同じmetric spaceに写す写像をいろいろ考えて、その同じ空間にある二つの位相についてハウスドルフ距離を取るとしたときに、そのハウスドルフ距離の最小値を持ってGromov-Hausdorff距離とする、とのこと
- さて、いずれにしろ有限面数のp-angulationに定義されている距離関係の極限を取ることができるようになったので、それを取ると、結局、面のすべての点について点間距離が定められた距離空間がいろいろできる。そのいろいろな距離空間全体をBrownian mapの集合と呼び、それぞれのBrownian mapの要素には確率密度もある。と書く
- 二つのブラウン運動
- 1つ目
- Browunia excursion(ブラウン散歩(0から出発して正の値だけを取りつつ、最後に0に戻るランダムウォーク)に対応して木ができる(Continuum Random Tree(CRT)ができる)
- Brownian excursionの構成にはそれなりの工夫がいる
- 2つ目
- 結局2つのブラウン運動(片方はBrown散歩)でラベルのついた木ができた
- 有限ブラウン運動なら頂点数は有限だが、ブラウン運動は極限があるから、もうこれで「面数が無限大なp-angulationに相当するmetric spaceが構成できた
- 三角不等式を満足するように制約を入れる必要があるらしい…(この点、よくわかってない)
- 木があって、ランダムウォークに基づくラベルが各所に貼られている。今、任意の点間距離は両点のラベルの値の和から、両点間を行き会うために「木を時計回り・反時計回りに回ってたどり着いたときの谷底ラベル値の大きい方の値」の2倍を引いた値であるとすると、ときとしてその値は0になる。距離が0の2点は「あるべき配置」において「同じ点」であるとみなせる
- この法則で定める距離を『グラフラベル距離』とでも呼んでおこう
- この木の上の点が同じ点である、ということは、木をそこでくっつける、という作業なわけであるが、これは、Well-labeled treeをp-angulationで結ぶ行為の極限とみなせる。辺で結ぶのは「距離を1」とすることだが、極限では「距離1」は無限小なので、「辺で結ぶ」とは、そこらへんを同じ点であるとみなす、という作業の離散版という位置づけになるからである
- 実際には、このようになるのは、2点のラベルが等しく、かつ、時計回り・反時計回りで行きかうときに、どちらかの回り方を取れば、そのラベル値以上の点しか通らないときが、「一致するべき2点」であることが示せるという
- さらに、次のようなことがわかっている。実際、Brownian mapで同一点となるのは、葉ノードのみ。同一視されるノードのハウスドルフ次元は1。3点融合するのは数え上げ可能な個数しかない
- 距離だけでなく、面積も測度化したい。今、ある木上の点の「周囲の面積」を、木上のラベルを考慮した距離『グラフラベル距離』を使って表すことにする。今ある閾値を与えたとき、『グラフラベル距離』が閾値未満であるような点の個数を持って、その点の周囲の「微小面積」とすれば、その極限を取ることもできて、それを面素にできる、そしてそれを空間全体に積分して1とすることにすれば、これが「volume」の定義
- このvolumeは結構、一様なのだという
- 別の「面素〜密度」の定義もできる、点の『グラフラベル距離』的な球とそれより少し大きい球とが作る帯状の部分に、グラフとして連結な成分がいくつあるかによって、そこがどれくらい混んでいるかが定義できる
- 点間距離もできたし、面素もできた。次は、測地線を引こう
- 2点が与えられれば、その「グラフ上」の距離はあるし、『グラフラベル距離』もある。たとえば、ラベル値がが最小の点と任意の点の測地線を考えるときには
- 2点を二つの見方で考えるのがよい
- 1つの見方は木の上の点
- もう一つの見方は木を埋め込んだとしての点
- 測地線は埋め込んだ状態で引かれる線であって、それは、木の上の動き方として表現することができる
- 問題となるのは、木の上の2点のつなぎ方は、「時計回り」に限定しても一通りではないこと(なぜなら、ある点が葉ノードでないときには、直線部分のどちら側に顔を出して時計回りに出発するかが決まらないから。特に、分岐点になると、さらに出発の仕方のバリエーションが出せる)
- そうは言ってもいくつかあるバリエーションのそれぞれで、うまいこと、ラベル値が出発点のそれから、到達点のそれへと変えつつ、もし複数回、同じラベル値に出会うとしたら、最初に出会った方を「経由点」として採用して、それらをつないだ線を測地線とすることにする
- 葉ノードとそれ以外とを区別して考える
- 葉ノードはお互いに同一点に集結しあう性質があるのに対し、非葉ノードはそうではないし、ノード局所を見ると、「面素」に値がある葉ノードに対し(周辺に点があるから)、「面素」がゼロな非葉ノードという違いがある。さらには、葉ノード間には一本の測地線が引けるのに、非葉ノードは2本(以上)引ける。このように非葉ノードは、面上の存在でありつつ、また面上にたくさんあるにもかからわず、黒衣のような存在で全体の構造の骨格を決めるような位置にある。骨格を決めるのはたまたま木構造の枝であるからではなく、ブラウン・マップにおける骨格としての性質を持つ
- 5 Brownian Plane
- 球面に興味がある今は、ここは飛ばす
- 6 うまい(canonical)埋め込み
- 三角化なら、すべての頂点を円の中心とし、辺で結ばれた頂点に対応する円同士を接触させるという Circle packingという埋め込み方法がある
- (ただの)三角化をCircle packingし、それの頂点数無限大の極限を考えると、それがBrownian mapになるので、三角化のCircle packingの極限としてBrownian mapを定義したり、作ったりすることもできそうである
- さて。読めた。
- 読めたが、それで何がどうやって自分の問題を解決してくれるのか、それが問題だ