取引

  • こちらから
  • 取引についての勉強会。こちらこちらに記事を書いた
  • 後者の記事では、一般化する方向で考えた
  • 簡潔に考えるには「一般化」と「純化」の2方向が良いわけなので、「純化〜制約を厳しく」して考えてみる
  • この世に2人しかいなくて、取引を続けるとどうなるか、という問題
  • 取引のやりかたは3通り。(1)フリーマーケット(2)結婚・離婚(3)盗み
  • 2人しかいないので、富はp,(1-p)に分配される
  • 3通りの取引を、2人のうち、貧しい方の富が取引後にどのくらいになるかと言う点で分類する
    • (1)では、貧者の取引前の富の量がp<0.5だったとすると、取り引き後の富の持ち分は0から2pの間で、その確率は等確率
    • (2)では、貧者の取引前の富量によらず、取引後の持ち分は0から1の間で等確率
    • (3)では、0からpの間に0.5の確率でなり、pから1の間に0.5の確率でなる。それぞれのセグメント内で等確率
  • グラフにすればこんな感じ

http://www.genome.med.kyoto-u.ac.jp/StatGenet/testRY20110208/Torihiki.jpeg

  • Rのソース
p<-0.2
N<-100
rs<-seq(from=0,to=1,length.out=N)
titles<-c("FreeMarket","Marriage/Divorce","Theft")
# (1) FreeMarket (2) Marriage/Divorce (3) Theft
pseries1<-rs*2*p
pseries2<-rs*1
pseries3<-c(rs[1:(N/2)]*2*p,p+rs[1:(N/2)]*2*(1-p))
plot(pseries1,ylim=c(0,1),type="l",main=titles[1],xlab="Sorted",ylab="Frac of One person's wealth")
par(new=TRUE)
plot(pseries2,ylim=c(0,1),type="l",main=titles[2],xlab="Sorted",ylab="Frac of One person's wealth")
par(new=TRUE)
plot(pseries3,ylim=c(0,1),type="l",main=titles[3],xlab="Sorted",ylab="Frac of One person's wealth")
  • (1)フリーマーケットの場合は、pが0.25より小さいときに取引をしても、決して、貧富の逆転は起きないというシーリングがあることがわかる
  • さて、2人しかいない世界でこのマネーゲームをしてみよう
  • 同じ状態からスタートして、(1)-(3)のそれぞれのルールで何回か取引を続け、片方の人の富の持ち分の変化をプロットする。それを何度もシミュレーションする
  • (1)フリーマーケットでは、貧者が富者になることもあるけれど、「ドリフトアウト」していく傾向にあることが見て取れる

http://www.genome.med.kyoto-u.ac.jp/StatGenet/testRY20110208/TorihikiDrift.jpeg

  • Rのソース
p<-runif(1)*0.5
Niter<-100
Ntest<-30
titles<-c("FreeMarket","Marriage/Divorce","Theft")
# (1) FreeMarket (2) Marriage/Divorce (3) Theft
pseries1All<-matrix(0,Ntest,Niter)
pseries2All<-pseries3All<-pseries1All
for(j in 1:Ntest){
	pseries1<-rep(0,Niter)
	pseries1[1]<-p
	pseries2<-pseries3<-pseries1
	for(i in 2:Niter){
		# (1)
		if(pseries1[i-1]<0.5){
			pseries1[i]<-runif(1,min=0,max=2*pseries1[i-1])
		}else{
			pseries1[i]<-1-runif(1,min=0,max=2*(1-pseries1[i-1]))
		}
		# (2)
		pseries2[i]<-runif(1,min=0,max=1)
		# (3)
		pseries3[i]<-sample(c(runif(1,min=0,max=pseries3[i-1]),runif(1,min=pseries3[i-1],max=1)))
	}
	pseries1All[j,]<-pseries1
	pseries2All[j,]<-pseries2
	pseries3All[j,]<-pseries2
}

par(mfcol=c(1,3))
matplot(t(pseries1All),ylim=c(0,1),type="l",main=titles[1],xlab="No.Torihiki",ylab="Frac of One person's wealth")
matplot(t(pseries2All),ylim=c(0,1),type="l",main=titles[2],xlab="No.Torihiki",ylab="Frac of One person's wealth")
matplot(t(pseries2All),ylim=c(0,1),type="l",main=titles[3],xlab="No.Torihiki",ylab="Frac of One person's wealth")

par(mfcol=c(1,1))
  • いかにも「(遺伝的)浮動」な感じ
    • 中立仮説(フリーマーケット)ではドリフトアウトする
    • ドリフトアウトさせない「ルール」がありそうだ
    • 確かに、多型がドリフトアウトしない仕組みもある(HLA領域など)
    • それは「メジャーアレル」も「マイナーアレル」も「同じ分」だけを相手に譲るのではなくて、「分捕り」「分捕られ」なやりとりをさせること。さて、それが遺伝学的にどういうことなのかが問題だ(ここではヘテロの優位性とか、「いわゆる理由」を探しているのではない…)
  • さて、その2。
    • こちらに浮動と拡散とについての記事がある
    • 本記事で、「浮動」とは、2者で世界が構成されているときのあるタイプの「取引」が起こす現象(?)
    • じゃあ、3者以上のときの「取引」が起こす現象もあって、それを考えるとき、「浮動と拡散」とを考えるときの次元の取り扱いのことが出てくる
    • だれでもかれでもがペアを作って取引をするのは、すべてのノードの間にエッジがある「完全グラフ(こちら)」というトポロジー(的)空間での拡散現象。ペアの作り方に制約があると、それは「完全」ではない、「いわゆるグラフ」で、そこにも拡散がある
    • グラフの拡散には、グラフのラプラシアンという取扱いもある(こちら)