第1章 毛管現象〜駆け足で読む『表面張力の物理学』〜
- 毛管現象とは「交じり合わない2つの液体の境界、あるいは、液体と気体の境界に見られる科学現象」であって、「境界面のエネルギーが最小になるように変形する様子を説明する」
- 1.1 表面張力
- 分子間の引きあう力が熱ゆらぎよりも優位なときに気体から「密度のより高い相であるから、やや秩序だってはいるが、まだ無秩序と言える液体」に変化する
- 液体中の分子は全周囲を同じ分子に囲まれているが、液体表面の分子は「露出」していて「不安定」
- 全周囲を囲まれているときの「凝集エネルギーをU」とすると、表面の分子は「U/2の凝集エネルギー」を失っている。
- このエネルギー損失量を分子集団全体に関して(足し合わせて)計算したものが「表面張力」
- 表面張力の由来は、分子間の相互作用であって、大まかには、油の場合はファン・デル・ワールス力、水の場合は水素結合、水銀の場合は「金属的な引き合い」
- ファン・デル・ワールス力は熱ゆらぎと同じくらいなので、油は「丸くならない、水は丸くなりがち、水銀は強く丸くなる
- 『乾いた髪はふわっとなるが、濡れた髪はべたっとなるのは、水が引きあっているから』
- 界面張力
- 表面張力は、気相と液相との間で生じる力であって、気相の方での分子間の相互作用は無視できるくらい小さい
- 界面張力は互いに交じり合わない2種の液体との間の「凝集エネルギー」の最小化をもたらす力
- 『表面を作るためにエネルギーが必要なことは、卵白の泡立てやマヨネーズの乳濁の作業が力仕事であることからわかる』
- これは、表面の熱力学
- 毛管力
- 表面張力は「単位長さあたりの力」とみなすこともできる
- 「単位長さあたりの力」は毛管力である
- 圧力の不連続性
- 大小の2滴があると、それは癒合する。その理由は、2滴の内圧に差があるから(オスワルト成長)
- 1.2 三相の接触:濡れ
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- 癌細胞群を液体とすると、「完全な濡れ」ではいくらでも広がるし、「不完全な濡れ」では一か所にとどまる。癌細胞の幕表面の接着力に寄与する分子が生み出す親和性について考えれば、「拡張係数」に計算しなおしたときに正に転じた瞬間に、転移が始まる…、と解釈可能、か