駆け足で読む『歴史は「べき乗則」で動く Ubiquity The Science of History... Or Why the WOrld is Simpler Than We Think』
歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: マーク・ブキャナン,Mark Buchanan,水谷淳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: 文庫
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- この本の邦題は『歴史の方程式』とした後で、変更して『歴史は「べき乗則」で動く』となったらしい
- 原題は"Ubiquity The Science of History... Or Why the WOrld is Simpler Than We Think"
- Ubiquity 普遍的な原理…
- 「1度きりの歴史を貫く普遍的な原理」ということで、べき乗則を中心に「凍結した偶然」の蓄積、非線形、ネットワークなどが絡んだ内容
- 「歴史の『方程式』」の「方程式」は単純すぎて合わないことになるし、「べき乗則」とすると、それ以外がこぼれてしまう…
- 邦題は難しい
- 「1度きりの歴史」と言うけれど、「この宇宙はパラレルワールド」であるのが真実で、ただし、僕らは、そのうちの一つの世界に属していて、それ以外とは没交渉、という考え方もあるそうなので、「神様にとってはたくさんのパラレルワールド」の普遍原理、「人間にとっては自分の帰属するワンワールド」の普遍原理
- 「一度きり」なのか、「N回のうちのm回」なのかは、前者が「確率」、後者が「頻度」で、人間は「確率」は理解しがたく、「頻度」は理解しがたいと言う話が、こちらの話。これは、「パラレル vs. ワン ワールド」で言えば、「神様は理解しやすいところに居て、人間は理解困難な環境に置かれている」とも言える
- 第1章 なぜ世界は予期せぬ大激変に見舞われるのか
- 第2章 地震には「前兆」も「周期」もない
- 規則があるはずだという信念の空回り。誤謬?
- 地震予知・天気予報
- 第3章 地震の規模と頻度の驚くべき関係
- 第4章 べき乗則は自然界にあまねく宿る
- 第5章 最初の地滑りが運命の分かれ道
- 断層の枝分かれ具合もフラクタル
- 地震とは、フラクタルな断層の成長過程の出来事
- 単純化したモデルの強み
- ファインマン博士が「『どうしてそうなるのか』という疑問を抱いて知性の深みにはまってしまわないように」という警句を量子力学の学生に残したという
- この警句の引用の意図がわかりにくいような…。「気になっている範囲に限定して『どうしてそうなるのか』と考えることは、『気になっている範囲』が不適切かもしれないから要注意」、と。
- 「地震は、起こりはじめたときには、自分がどれほど大きくなっていくか知らない」
- 臨界状態の物理学のリバイバルと他分野(生理学・進化学・経済学・地球科学)への展開-第6章 世界は見た目より単純で、細部は重要ではない
- 磁石の中の微小磁石の配列
- 微小磁石同士の相互関係は距離に関してべき乗則に従う
- その臨界状態はフラクタル
- ガラッと変わる?→連鎖不平衡?
- 臨界点では、いつ、どこでも、集団が組織化されうる状態であり、実際、集団が生まれては消える
- 組織化の特徴量を決めるのは、幾何に還元できて、個々の分子の「質量」とか「電荷」とかは無関係
- 臨界状態とべき乗則は表裏(か? いくつもある見え方の2つか?)
- 第7章 防火対策を講じるほど山火事は大きくなる
- 第8章 大量絶滅は特別な出来事ではない
- 種が絶えるというできごともべき乗則
- 第9章 臨界状態へと自己組織化する生物ネットワーク
- 化合物のスープは触媒ネットワークを自己形成する
- 生態系はネットワーク
- 種の適応度地形は相互作用する
- 種の適応度地形の相互作用変化〜進化〜にもべき乗則(1種の変化が結果として何種に影響を与えるか)
- 種の絶滅モデルでは、生態系の階層性を組み込むことで、観測との整合性が高まった
- また、生態系の階層性は、砂山モデル(自己組織的臨界)のように階層の転がり現象を有する
- 第10章 なぜ金融市場は暴落するのか
- 市場に参加する個人同士の相互作用によるべき乗則化
- 個人同士の関係とネットワーク
- 個人のつながりはランダムではなくて、どちらかと言えば格子、ただし、そこに格子ルールからはずれた近道がある
- 限定的な近道の存在により、すべての個人ペアの間の距離は短いあたりに集中する〜スモールワールド
- 第11章 では、個人の自由意思はどうなるのか
- 芝生の上の近道の生成
- 都市の人口分布
- 貧富の分布
- 自由意思は細部
- 第12章 科学は「地続き」に進歩するのではない
- 歴史を語る「それは実際どういう出来事(の連鎖)だったのか」
- 科学のパラダイムシフトは、大きな雪崩
- 小さな雪崩はそこらじゅうにある
- 第13章 「学説ネットワークの雪崩」としての科学革命
- 第14章 「クレオパトラの鼻」が歴史を変えるのか
- 作者: 吉野源三郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1982/11/16
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