手さぐりで進む

  • 昨日の記事の続き
  • 2次元空間に正方格子座標を置いたり、正三角形のタイルを埋め尽くして、隣接する(辺を共有する)正三角形との間で物のやり取りをしたり、正六角形のタイルで埋め尽くしたりして、同様のことをする話だった
  • 今、2次元平面のある点から\frac{2\pi}{N}\times i,i=1,2,...,N方向への物質の移動とその逆方向の物質の移動を考える
  • N方向への動きやすさは等しいものとする
  • \frac{2\pi}{N}\times i方向の単位ベクトルを\bf{e_i}とし、\bf{x}における物質の濃度をu(\bf{x})として、距離\Delta rの2点間の物質の移動は動きやすさの係数kを用いて\frac{k}{N}\times (u(\bf{x}+\Delta r \bf{e_i})-u(\bf{x}))
  • すべての方向について足し合わせると\sum_{i=1}^N (\frac{k}{N}\times (u(\bf{x}+\Delta r \bf{e_i})-u(\bf{x})))となる
  • \Delta r \to 0N \to \inftyの極限を取ってやると、それが、方向すべてについて統合した「傾き〜『全』微分(偏微分が特定の方向への傾きであるのに対して、これは、すべての方向についての傾き)」
  • \lim_{\Delta r \to 0} \lim_{N \to \infty} \sum_{i=1}^N (\frac{k}{N}\times (u(\bf{x}+\Delta r \bf{e_i})-u(\bf{x})))
  • 2次元平面で、すべての方向について物質のやりとりができて、そのしやすさが等しいときにこのようになる
  • 方向ごとに移動しやすさに違いがあるとする(ただしその方向に関しては行きと帰りとでは同じ)と係数kが方向依存性を持つので
  • \lim_{\Delta r \to 0} \lim_{N \to \infty} \sum_{i=1}^N (\frac{k_i}{N}\times (u(\bf{x}+\Delta r \bf{e_i})-u(\bf{x})))
  • 2次元平面を考えていた
  • 次元を上げよう
  • 今、D次元空間のとき、そこでの全微分は、「すべての方向についての傾き」なので単位ベクトルの集合\bf{E}を使って
  • \lim_{\Delta r \to 0} \lim_{N \to \infty} \sum_{\bf{e_i} \in \bf{E}}^N (\frac{k_i}{N}\times (u(\bf{x}+\Delta r \bf{e_i})-u(\bf{x})))となる
  • こうしておくと、2次元平面にある円周という閉じた(1次元空間)の場合には、「すべての方向」について考慮すれども、接線方向が2方向あって、その2方向にしか物質が進めないので、接線2方向以外のk_i=0となっている、そんな式となるし、3次元空間にある球面という閉じた(2次元空間)の場合には、「すべての方向」のうち、0でないk_iを持つ方向は、接面方向のベクトルのみである、と考えればよいことになる
  • 移動が可能な方向のみを考えてよいのなら、グラフのような構造でも同じ方式で考えられる(頂点数が有限なグラフの場合にはNが有限となるが)
  • 粘菌が進行する動きは、「本人たち」が世界を俯瞰していないのなら、「行ける方向のすべてに手を伸ばして進んでみる」はずなので、「手さぐり型進行」であるし、それは「(進みうる)すべての方向」に関する『処理』を行っていることに相当する(はず)